見どころ
アーモンドアイが注目の世界デビュー、G1牝馬3頭で目指すは上位独占
世界にその名をとどろかせるアーモンドアイが海外デビュー戦に選んだドバイターフは、ワールドカップナイトのメーンイベントと呼んで差支えないほどの注目を集めている。次元の違う走りで年度代表馬に輝いた日本の至宝に求められるのは、単なる勝利ではなく大向こうを唸らせる勝ち方。あまり期待を背負わせてもいけないが、それでも応えてくれるであろう信頼感がある。
アーモンドアイにとって今回の1800mが守備範囲であることに疑いの余地はないが、どの辺りにポジションを取るのかは興味深い。2400mのオークスとジャパンCでは前々から横綱相撲を披露した一方、1600mの桜花賞では最後方に近い位置からの追い込み、2000mの秋華賞でも離れた中団から差し切りを決めている。いわゆる地脚の違いで決着をつけることも可能と思われるが、展開を読みにくい国際レースである上にマークも集中する。ポジショニングは重要だ。
アーモンドアイが前でマークを集め、厳しい流れになった方が、末脚勝負のヴィブロスとディアドラには助けとなるか。日本では中団付近からのレースを型にしているヴィブロスだが、ドバイターフでは優勝した一昨年、2着の昨年とも後方寄りから勝ち負けに持ち込んだ。昨年3着のディアドラも後方からの追い込み。2度目のドバイで慣れを見込めるうえ、今回はヴィブロスを優勝に導いたJ.モレイラ騎手との初コンビも実現し、さらなる前進があって不思議はない。
外国勢ではやはり地元ゴドルフィンのドリームキャッスルが筆頭格。去勢効果で能力を発揮できるようになり、年明けからドバイターフと同距離の重賞を3連勝と、メイダン競馬場で戦ってきた相手とは勝負づけを済ませている。そうした過程や腰を落ち着けて順調に来た経験値はアーモンドアイにはないものであるし、鞍上のC.スミヨン騎手もフランスで鎬を削り合ったC.ルメール騎手に対抗心があることだろう。
鞍上を含めたチーム力ではウィズアウトパロールも強力だ。エネイブルのJ.ゴスデン調教師とL.デットーリ騎手の師弟コンビに導かれ、昨年はロイヤルアスコット開催のセントジェームズパレスSまで無傷の4連勝。その後に3連敗でシーズンを終えたものの、ゴスデン師は当初から成長を促す方針を示していた。今回は半年余りの休養明けだが、名伯楽の見立て通りなら不気味な存在になる。
香港のサザンレジェンドは最強マイラーのビューティージェネレーションを避ける狙いもあっての参戦だが、今回はアーモンドアイと対戦することになってしまった。とはいえ、12月の香港マイルでは2着ヴィブロスに1/4馬身差の3着と互角の内容を残しており、ここでも上位争い可能な実力は秘めている。
また、もつれる展開なら英国のロードグリッターズも侮れない。昨年はロイヤルアスコット開催のクイーンアンSで波乱の片棒を担ぐなどマイル戦線で頭角を現し、唯一の勝利を1800mのG3ストレンソールSで記録している。A.オブライエン調教師が期待していたアイキャンフライは昨年後半から軌道に乗りはじめ、10月のG1クイーンエリザベスSでは2着に健闘。休養を挟んで地元の条件戦勝利から虎視眈々の参戦だ。