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前走のリヤドダートスプリントを制したコパノキッキング。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

日本勢4頭が充実の布陣、史上初制覇のチャンス到来

マテラスカイが2着に激走した2年前はインペリアルヒントにプロミシズフルフィルド、ロイエイチ(出走取り消し)とダート大国のアメリカから3頭のG1ホースが遠征し、優勝をさらったエックスワイジェットも前年のドバイゴールデンシャヒーン(GS)で2着という強力なメンバー構成だったが、今年は4頭参戦するアメリカ勢にG1実績馬が不在。これに同じく4頭で対抗する日本勢は現状のベストメンバーとも思えるような実力馬がそろい、初制覇へ期待ふくらむ一戦となった。

今年のマテラスカイとコパノキッキング、ジャスティンにレッドルゼルという顔触れは、ベテランと次代のけん引役が半分ずつ、脚質も逃げ・先行のジャスティンとマテラスカイ、差し・追い込みのコパノキッキングとレッドルゼルに分かれて実にバランスが良い。しかも、先行したい2頭が内目の3番と4番、差しに回る2頭が外目の11番と13番という枠振りになった。

また、新興勢力のレッドルゼルにベテラン2頭との対戦経験こそないが、ジャスティンとはカペラSでクビ差の接戦を演じ、ジャスティンはベテランたちと勝ち負けを繰り返すなど実力拮抗の関係。どんな展開になっても二の矢、三の矢を繰り出せる布陣となっている。


一昨年は2着と好走したマテラスカイ。(Photo by Getty Images)

レッドルゼルを除く3頭は前走のリヤドダートスプリントで対戦し、追い込みのコパノキッキングが逃げ粘るマテラスカイを際どく差し切ってワンツーフィニッシュ。両馬の間から一度も先頭に立てなかったスイッツァランドに逆転の目があるか疑わしい。出遅れて不本意な内容になったジャスティンが巻き返す可能性の方が現実的だ。

日本勢にとって壁となるアメリカ勢では、前走のパロスヴァーディスSを4馬身1/4差で圧勝したワイルドマンジャック、昨秋のBCスプリントで1番人気だったヤウポンが怖い。パロスヴァーディスSの勝ち馬は過去に延べ10頭がドバイGSに遠征して2勝、2着4回、3着1回。ワイルドマンジャックには上位争いの資格がある。昨年は芝のアルクォーツスプリント前哨戦を圧勝しながら、あえてダートに矛先を向けてきたのも自信の表れだろう。

また、BCスプリントで人気を裏切る格好になったヤウポンには、直線入口で両脇から挟まれる不利があった。ただ、逃げ切りでデビュー4連勝してきたものの、BCではマテラスカイと同じ森秀行厩舎のジャスパープリンスに外枠からハナを叩かれ、最終コーナーで早くも鞍上の腕が動いていた。通算5戦とキャリアが浅く、良くも悪くも未知の面を残しており、今回は2番枠から行き切れば勝ち負けにもなりそうな半面、揉まれ込むような形になるとどうか。

地元勢では前哨戦シリーズを勝ってきたD.ワトソン厩舎のキャンヴァストとアルタリクが双璧だが、L.デットーリ騎手が手綱を取るグッドエフォートの出方にも注目。前走のマハブアルシマールはハイペースで逃げ、最後の100mで脚が上がり2着に敗れたものの、勝ったキャンヴァストとはクビ差。枠順が最内の1番なら再び前へ行くしかなく、名手がテン乗りから継続騎手で如何に操るか。隣のヤウポンやマテラスカイらにも気になる存在だ。

(渡部浩明)