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世界の強豪に胸を借り、G1制覇を狙うヴァンドギャルド。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

強豪あふれる国内を避け、G1制覇の好機としたいヴァンドギャルド

不参戦だった2015年を除く過去5回で4勝と、近年は日本調教馬が圧倒的な戦績を残しているドバイターフだが、今年のヴァンドギャルドはG1未勝利で重賞も1勝と、過去の優勝馬と比較して実績が不足している。世界の強豪に胸を借り、どこまで通用するかが焦点だ。

立場はあくまで挑戦者のヴァンドギャルドだが、今回はG1ホースとなるための好機と考えることもできる。国内でマイルや2000mのG1を勝つならば、コントレイルやデアリングタクトの牡牝三冠馬、グランアレグリアやインディチャンプのマイル王、さらには春秋グランプリ制覇のクロノジェネシスらが相手になる。この中で1頭を負かすことさえなかなか容易なことではない。

それに対し、ドバイターフの相手関係でG1勝ち馬はロードノースとロードグリッターズの2頭だけ。もちろん、ヴァンドギャルドとすれば一目置かなければならない格上馬だが、距離が1800mであれば両馬とも後方からのレースになるはず。道中のマークは絞りやすく、展開次第で勝機がめぐってくることもあるかもしれない。

ロードノースは昨年のプリンスオブウェールズSの内容が鮮やかの一語。当時を再現できれば勝利当確の存在だろう。良馬場で末脚を生かしたいタイプだけに、初めてのメイダン競馬場が英国の競馬場以上にフィットする可能性も高い。ドバウィ産駒はベンバトルが2018年のドバイターフ、オールドペルシアン(2019年)とポストポンド(2016年)もドバイシーマクラシックを勝つなど、ワールドカップデーに結果を残している。


コース適性なら証明済みのロードグリッターズ。(Photo by Press Association)

コース適性ならロードグリッターズは自力で証明済み。メイダン競馬場の芝1800mでは重賞4戦で2勝、3着2回の複勝率100%だ。癖の強い競馬場が多い地元の英国では、アスコットの直線コースやヨークなど、比較的平坦なコースで良績を挙げており、整地されたメイダン競馬場が合っているのだろう。展開に左右されがちな追い込み脚質にもかかわらず、この安定感は評価に値する。

この2頭に続き、ヴァンドギャルドと3番手グループを形成するのはリーガルリアリティ、前哨戦のジェベルハッタでロードグリッターズと小差のエクティラーン、ゴドルフィンのアルスハイルとランドオブレジェンズあたりか。

リーガルリアリティは1600mで安定感があり、2000mではやや長いタイプ。今回の1800mは未経験だが、あるいは今回がベスト距離の可能性もある。R.ムーア騎手とも手が合っており侮れない1頭だ。また、前走のエクティラーンはスローペースを利した粘り込みでインパクトに欠けたが、24日にオーナーのハムダン殿下の訃報が伝えられた。今回は弔いの勝利へ陣営の力の入り方が違うはずだ。

ゴドルフィンのアルスハイルは素質こそ高いものの重賞未勝利。鋭い末脚を発揮する一方、最後に踏ん張りが利かずタイトルを逃してきた経緯があり、脚の使い所が難しい。もう1頭のランドオブレジェンズは1800mが未経験で、勝ち鞍も1400mまでしかない。ただ、2走前のアルファヒディフォートは好位から余力十分に抜け出しての重賞初制覇。距離延長に対応できそうな雰囲気はある。

(渡部浩明)