ドバイゴールデンシャヒーン 2024/3/30(土) 23:25発走 メイダン競馬場

見どころPREVIEW

前走リヤドダートスプリントを制したリメイク。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

今年もアメリカ勢が強力、日本勢は悲願の初制覇なるか

ドバイワールドカップデーで日本調教馬が未勝利のレースは、このドバイゴールデンシャヒーンとアルクオーツスプリントの短距離系2鞍のみとなった。今年は双方に日本から出走予定馬がいるが、ジャスパークローネが単騎参戦のアルクオーツスプリントより、4頭で挑むドバイGSの方がよりチャンスもありそう。初制覇の吉報を届けてほしい。

最大の期待はリメイクとなるだろう。昨年は出遅れて最後方追走から5着という悔いの残る結果になってしまった。それでも、直線では外から追い上げて先頭から2馬身圏内でゴール。1着のシベリウスが最内枠から経済コースをキープし続けたことと比較すれば、負けて強しと評価できる内容だった。前走のリヤドダートスプリントでも余力十分に優勝と昨年の3着からスケールアップを果たしており、五分の発馬なら勝機もあるはずだ。

イグナイターは2走前のJBCスプリントでリメイクを負かしている。短距離ダート戦では国内唯一となるG1級での戦果だけに実力の裏づけとして説得力がある。前走のフェブラリーSは着順こそ大敗も、距離が長かっただけで度外視可能。先行馬に苦しい展開の中、1400m地点まで先頭争いを演じた地力はハイレベルの1200mでこそ生きる。

ドンフランキーも昨年7月のプロキオンSでリメイクを2着に下した。当時はリメイクがドバイからの帰国初戦で斤量も1kg重く、それでいてクビ差。ドンフランキーが優位に立っているとは言えないが、その後に東京盃でレコード勝ちするなど着実に力をつけてきた。600kgに迫る巨漢で骨折明けの前走は織り込める敗戦。激しい道中になる国際舞台ではフィジカルも武器になり、叩き2戦目の今回は楽しみも大きい。

上記の3頭に対するものを含め4連敗中のケイアイドリーだが、それぞれに不利などの敗因がある。まずは日本勢の争いの中で1頭でも上の着順を狙い、あらためて実力を証明したい。中団より前で流れに乗る本来の形を作れるかがカギとなる。



昨年の覇者シベリウス。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

日本勢にとって壁となるのは、歴史的にこのレースを支配してきたアメリカ調教馬と見て間違いないだろう。昨年の優勝馬シベリウス、同4着のホプキンズと、リメイクに先着した2頭が今年も参戦する。それぞれの前走も昨年と同様で死角は少ない。シベリウスのJ.オドワイヤー調教師は初遠征で勝手が分からなかった昨年よりも、今年はプレッシャーも少ないと自信を見せている。

また、BCスプリントで3着の実績があるナカトミも怖い1頭。前走のペリカンSではシベリウスの後塵を拝したが、直線で包まれ追いづらい面があった。BCスプリントは昨年のリヤドダートスプリントでリメイクに完勝したエリートパワーとガナイトに続いたもので、着差もリメイクがつけられたものより3馬身余り小さい。

ボールドジャーニーはリヤドダートスプリントでリメイクに完敗の3着。ただ、海外初挑戦だった当時から変わり身の余地はあり、前走だけで勝負づけを済ませたと考えるのは時期尚早だろう。アメリカ勢のもう1頭、ランクラシックは重賞未勝利でリステッドも前走のガルフストリームパークスプリントSが初勝利だが、重賞2勝馬に3馬身半の決定的な着差をつけている。スプリント路線に転じてからの戦歴も浅く、これから開花していく可能性はある。

ムーヒーブ(アルシンダガスプリント)とタズ(ドバウィS)、リーディングスピリット(マハブアルシマール)の地元勢は、それぞれ1月以降に組まれた同舞台の前哨戦を制している。ムーヒーブは昨年のドバイGSで13着だが、当時は大外枠から終始馬群の外に置かれた結果。アルシンダガスプリントはそれ以来の実戦だった。ベテランのタズは昨年のドバイGS、前走のリヤドダートスプリントでリメイクに連敗している。マハブアルシマールのリーディングスピリットは8歳にして重賞初制覇。アルシンダガスプリントとドバウィSでは重賞未勝利のカラーアップやフリーダムファイターとも着順を前後させており、これら3頭はムーヒーブやタズに一枚落ちの感がある。

(渡部浩明)