ドバイワールドカップ 2024/3/31(日) 01:35発走 メイダン競馬場

見どころPREVIEW

連覇を狙うウシュバテソーロ。(Photo by Getty Images)

日本勢の連覇に期待も十分、サウジCより先行勢が薄くペースは落ち着くか

昨年はウシュバテソーロがダート開催における初制覇を成し遂げ、今年も同馬をはじめ日本勢による連覇に期待が集まるドバイWC。UAEダービーでのワンツーフィニッシュがあるデルマソトガケとドゥラエレーデ、進境著しいウィルソンテソーロらで臨む布陣は厚く、実現の可能性も十分にある。

昨年はハイペースを利しての追い込みが決まったウシュバテソーロだが、前走のサウジCでも離れた後方から末脚を炸裂させて勝利にあと一歩と迫った。最後はセニョールバスカドールの追撃に屈する形になったものの、川田将雅騎手の仕掛けのタイミングはドンピシャ。勝ちに動いたウシュバテソーロと、追う立場のセニョールバスカドールの明暗を分けたものは展開のアヤでしかない。末脚が生きる展開なら再び両雄の一騎打ちも考えられるが、ウシュバテソーロにとって距離の200m延長は歓迎。前年の実績も加味すれば優位に立てる。

ただし、その展開が向くかは分からない。サウジCは先行馬がそろって厳しい流れとなったが、サウジクラウンとアイソレートがゴドルフィンマイルに回るなど、ペースを作った馬たちがドバイWCを軒並み回避した。今回はペースが落ち着く可能性もあり、そうなればUAEダービーで行った行ったのワンツーを決めたデルマソトガケとドゥラエレーデ、逃げを含め自在性のあるウィルソンテソーロにチャンスが巡ってくる。

とくに昨年のデルマソトガケはサウジアラビアからの転戦で結果を出しており、1か月の間隔で順調にレースを使えるのも1年ぶりで上積みを期待できる。対ウシュバテソーロの過去2戦とも休み明けながらBCクラシックでは先着している。ドゥラエレーデはUAEダービーがダート2戦目で当時とは経験値が違う。海外初遠征のウィルソンテソーロには未知の面もあるが、直近の3戦ともドゥラエレーデに先着している。ダートの違いに対応できれば勝ち負けに絡んでも不思議はない。



サウジCを制したセニョールバスカドール。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

アメリカのニューゲートは前走のサンタアニタHでG1初制覇を飾ったばかりだが、初の2000mに対応した点は評価できる。その勝利を含めて一線級相手の実績が不足しており、今回は試金石の面があるものの、この馬の場合はドバイWCの経験・実績とも豊富なB.バファート調教師とL.デットーリ騎手のコンビという点が怖い。

また、地元UAEのローレルリバーはゴドルフィンマイルの前哨戦であるバージナハールを逃げ切りで圧勝。サウジクラウンやアイソレートとの対戦を避けてドバイWCに回ってきた。距離経験は1600mまでしかなく、鞍上が強気に乗るか慎重に構えるかでペースも変わる。展開のカギを握る存在になりそうだ。

注目度という点では前哨戦のアルマクトゥームチャレンジを快勝したカビールカーンが一番か。現在はUAEのD.ワトソン調教師が管理しているが、アメリカ生まれながらカザフスタンでデビューし、ロシアを主戦場としていた。その前哨戦では好位の一角から余力十分に4馬身3/4差を開く完勝劇。異色の経歴のためベールに包まれた部分が多く、不気味さも魅力も底知れない。父のカリフォルニアクロームはアメリカではマイナーなカリフォルニア州産馬で、2016年にはドバイWCを制すなど米年度代表馬にまで上り詰めたが、息子は一段とマイナーな育ち。父子2代でシンデレラストーリーを作れるか。

これ以外では直近の相手関係や結果から、相当な変わり身や展開の助けがなければ上位争いまでは難しそうな印象がある。

(渡部浩明)