日本馬挑戦の歴史
君臨したエイシンプレストン、近年は未完の大器が花咲かせるレースに
クイーンエリザベス2世カップ(QE2C)に外国馬が出走可能になったのは創設から20年を経過した1995年。さっそく参戦したフジヤマケンザンは、半年ほど前の1994年末に香港国際カップで4着に善戦した実績も手伝い2番人気の高い評価を受けた。しかし、レースでは厳しいマークを受け、包まれたまま身動きできず10着に大敗してしまう。フジヤマケンザンは同年の暮れにも3度目の香港遠征を敢行し、見事に香港国際カップを制覇。日本馬による香港挑戦の先駆けとなった。
国際G1に昇格して2回目を迎えた2002年のQE2Cにはエイシンプレストンとアグネスデジタルが名乗りを挙げた。どちらもフジヤマケンザンと同様、前年暮れにシャティン競馬場で実戦を経験しており、エイシンプレストンは香港マイル、アグネスデジタルは香港カップに優勝するなど実績も十分。1番人気こそ欧州の強豪グランデラに譲ったものの、エイシンプレストンが2番人気、アグネスデジタルは3番人気の支持を集めた。
好スタートを決めた両馬はグランデラをマークし、迎えた直線でアグネスデジタルが背後から内へ、エイシンプレストンは中団後ろ目から大外を豪快に伸びて挟み撃ちに。そのまま1着エイシンプレストン、半馬身差でアグネスデジタルの順にゴールを駆け抜け、日本調教馬として史上初の海外G1ワンツーフィニッシュを成し遂げた。エイシンプレストンは2003年もQE2Cに参戦。1番人気の支持を集めると、前年と同じように中団から他馬を一掃し、レース史上初の連覇を達成した。
その後は2010年まで3頭の挑戦に留まり、それぞれ善戦した一方でアドマイヤムーンの3着が最高。しかし、エイシンプレストンの初制覇から10年が経った2012年、ルーラーシップが直線で最内から一気に4馬身近く突き抜けて圧勝し、悲願のG1タイトルを手に入れる。ルーラーシップの活躍が呼び水となり、それ以降はエイシンフラッシュが3着(2013年)、ステファノスは2着(2015年)に善戦。2014年と2016年も最高4着と上位争いを演じ、途絶えることなく存在感を発揮し続けた。
そして2017年、遅咲きのネオリアリズムが2度目の香港遠征で大輪の花を咲かせる。“マジックマン”J.モレイラ騎手を鞍上に迎えたネオリアリズムは、超スローペースの中で折り合いに苦しんだが、中間点でモレイラ騎手が解き放つと一気に先頭へ。そのままスピードに乗って地元勢の追撃を封じ込め、ルーラーシップに続きG1初制覇を飾ったのだった。
年 | 馬名 | 性齢 | 着順 | 騎手 | 調教師 |
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2017 | ネオリアリズム | 牡6 | 1 | J.モレイラ | 堀宣行 |
2016 | ラブリーデイ | 牡6 | 4 | J.モレイラ | 池江泰寿 |
ヌーヴォレコルト | 牝5 | 6 | 武豊 | 斎藤誠 | |
サトノクラウン | 牡4 | 12 | Z.パートン | 堀宣行 | |
2015 | ステファノス | 牡4 | 2 | 福永祐一 | 藤原英昭 |
2014 | エピファネイア | 牡4 | 4 | 福永祐一 | 角居勝彦 |
アンコイルド | 牡5 | 10 | K.ティータン | 矢作芳人 | |
2013 | エイシンフラッシュ | 牡6 | 3 | M.デムーロ | 藤原英昭 |
2012 | ルーラーシップ | 牡5 | 1 | U.リスポリ | 角居勝彦 |
2010 | ネヴァブション | 牡7 | 4 | 後藤浩輝 | 伊藤正徳 |
2008 | マツリダゴッホ | 牡5 | 6 | 蛯名正義 | 国枝栄 |
2007 | アドマイヤムーン | 牡4 | 3 | 武豊 | 松田博資 |
2003 | エイシンプレストン | 牡6 | 1 | 福永祐一 | 北橋修二 |
2002 | エイシンプレストン | 牡5 | 1 | 福永祐一 | 北橋修二 |
アグネスデジタル | 牡5 | 2 | 四位洋文 | 白井寿昭 | |
1997 | ダンスパートナー | 牝5 | 8 | 四位洋文 | 白井寿昭 |
マイネルブリッジ | 牡5 | 9 | 坂本勝美 | 伊藤正徳 | |
1995 | フジヤマケンザン | 牡7 | 10 | 蛯名正義 | 森秀行 |