クイーンエリザベス2世カップ 2024/4/28(日) 17:40発走 シャティン競馬場

見どころPREVIEW

昨年2着の雪辱を期すプログノーシス。(Photo by Getty Images)

3連覇を狙うロマンチックウォリアーが中心も、道悪なら逆転候補も多士済々

今年のクイーンエリザベス2世C(QE2C)は史上初の3連覇に挑むロマンチックウォリアーをめぐる戦い。出走11頭のうち、日本のヒシイグアスとプログノーシスを含む7頭が昨年12月の香港Cでも対戦しているが、週末まで続くという不安定な天気が曲者。当時は不在だった名うての道悪巧者も加わり混迷の度合いを増している。

実績からも良馬場なら断然の主役となるロマンチックウォリアーだが、豪州遠征のターンブルSで稍重の経験が1戦あるだけ。次戦に大目標のコックスプレートを控え、5か月ぶりの休み明けと結果(4着)は参考にならない。それ故に道悪は未知数も、当時は道中の行きっぷりなどレース内容も悪くなく、極端に悪化しない限りこなせそうな印象はある。

もしロマンチックウォリアーが道悪に苦しむようなら、これまで苦杯をなめさせられてきたプログノーシスには一矢報いる好機。昨年の札幌記念は発表こそ稍重だが、直線では馬群が縦に長く伸びる巧拙の分かれる馬場状態だった。その中で抜群の手応えから4馬身突き抜けた内容は強烈。最後方から追い込み及ばなかった香港での過去2戦より、道悪でペースが落ちる分だけ追走も楽になるかもしれない。

対照的なのはヒシイグアスで、その札幌記念では5着ながらプログノーシスに約8馬身差をつけられた。過去に2勝と得意にしてきた前走の中山記念も稍重で11着に沈み、当時の鞍上も馬場を敗因に挙げている。ノースブリッジは重馬場でエプソムCを勝っているが、レース中に陽が差し、4着のジャスティンカフェが上がり最速の33秒5を記録という馬場状態だった。先行力があるのは魅力で、父モーリスは香港で3勝、母の父アドマイヤムーンも2007年のQE2Cで3着という血の力に期待したい。



3連覇を狙うロマンチックウォリアー。(Photo by The Hong Kong Jockey Club)

ストレートアロンは香港Cでヒシイグアスとプログノーシスの間に割って入り4着。移籍前の豪州では不良馬場でG3勝ち、香港に移籍後も昨年5月に重馬場のG3クイーンマザーメモリアルCでG3勝ちと、道悪が得意なファストネットロック産駒らしい実績を残している。9月のシーズン開始から今回で10戦目、しかもドバイ遠征帰りのスケジュールが課題だが、状態を維持できていれば怖い存在となる。

香港Cでプログノーシスに1馬身半差(6着)のソードポイントは、クイーンマザーメモリアルCでストレートアロンに約1kgのハンデをもらいクビ差の2着。香港C前哨戦のジョッキークラブCでも同馬に3/4馬身差の2着と力量が近い。移籍前の豪州では重馬場のG2で3着があり、プログノーシスとしても油断できない相手だ。

香港Cで7着のニンブルニンバスはソードポイントと1馬身3/4差。陣営は道悪に自信を見せているものの、上位入線の香港勢も道悪が割引にならないだけに、まとめて負かすまでは難しそうだ。ファイブジーパッチやハッピートギャザーにも同様のことが言える。

英国から遠征するドバイオナーは道悪でこそのタイプ。まとめて負かすというなら、この馬を置いて他にいない。シャティン競馬場の2000mは今回で3戦目。昨年のQE2Cではロマンチックウォリアーに2馬身1/2差の完敗(3着)だったが、プログノーシスとは1/2馬身差しかなかった。道悪なら逆転の希望も大きくふくらむ。

もう1頭、香港ダービー馬のマッシヴソヴリンはアイルランドからの移籍馬だが、クールモアの所有でA.オブライエン厩舎からデビューという名門の出身。通算7戦で唯一の連逸を道悪で喫しているものの、10か月半の休み明け、それもデビュー2戦目というものだった。ノーネイネヴァー産駒には道悪巧者が多く、その1敗だけで決めつけるのは危険。ロマンチックウォリアーがそうであるように、ダービーとQE2Cの連勝は名馬への登竜門となっており、実現すれば香港の中距離路線が一段と厚みを増すことになる。

(渡部浩明)