香港国際競走 特別インタビュー「香港国際競走を勝たなければ、なにも始まらない」騎手 ジョアン・モレイラ

騎手 ジョアン・モレイラ

香港国際競走 特別インタビュー「香港国際競走を勝たなければ、なにも始まらない」騎手 ジョアン・モレイラ

制作:株式会社レイヤード 取材:土屋真光

写真:Getty Images、武田信晃

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勝つ可能性を考えてネオリアリズムを選択

その名前が出ましたネオリアリズムで香港カップに出走します。今年4月のクイーンエリザベス2世カップでもコンビを組んで、向こう正面で一気にまくって押し切るという見事な騎乗でした。

「彼は決して乗りやすい馬ではなく、非常に頑固で、しかも前に馬がいると抜きたがる性格の馬なんですよ。簡単にコントロールできるような馬ではありません。ですが、その前向きな気性をうまくコントロールできれば、とても強い馬だということは過去のレースでも証明されています。昨年の札幌記念を覚えていますか? 僕はモーリスに騎乗してあのレースに出ましたが、ネオリアリズムに逃げ切られてしまいました。僕はあのときのネオリアリズムについて、「かなり強い」という印象を持ちました。単なる逃げ切りに見えますが、あのレースは見た目以上にハードなレースだったはずですよ」

沙田の2000mは、スタートしてすぐ1コーナーなので、より枠順の影響を受けやすいというイメージがあります。

「その通り。内枠と外枠では、1コーナーに向かう見た目の距離からして大きく差がありますよ」

内枠の馬でも、外から被されて行き場を失いやすいですし、そうならないように押していくと折り合いを欠くリスクもありそうです。

「逃げ馬なら思い切って行かせてしまえば、大きなアドバンテージになりますけど、そうでないとそのリスクはありますね。QE2Cのネオリアリズムがまさにそうで ゲートの出が悪く、しかもスローペースになってしまって、馬が行きたがって仕方なかったです。できれば序盤からいいポジションで競馬をしたかったのですが、位置を取りに行くとこの馬の積極性が逆にマイナスになると思い、前半はとにかくなだめることに注力しました。そして、3コーナーの手前で一番ペースが緩んだところで、ゴーサインを出したことで、最後まで集中力を切らさずに走りきってくれました。同じことが何度もうまくいくとは限りませんので、今回はいいスタートを決めたいですね」

前哨戦のジョッキークラブカップでも騎乗したタイムワープに騎乗するのではないか、という声もありましたが。

「タイムワープもこれからどんどん強くなり、いずれ大きいレースも勝てるような馬になると思います。しかし、ネオリアリズムとは実際に半年前に結果を出しており、悩みましたが、今回の可能性でいえばこちら(ネオリアリズムに騎乗)だと考えました」

気難しいと判っていても、敢えてということですね。

「そういう馬に乗ることはむしろ大好きです。僕は決して力で無理くりにコントロールしているわけではありません。常に紳士的に接するよう心がけています。馬の気持ちはゴムボールのようなものです。力で抑えすぎてしまえば、破裂してしまって何もなくなってしまいます。ですから、そうならないようにコントロールしなければなりません。納得させてエネルギーをキープできれば、それが最後の頑張りに繋げられるのです。これは馬それぞれの個性もありますから、とにかく馬としっかりコミュニケーションすることが必要ですね。これはどんなレースにも当てはまることです」

さて、香港に来てもう5シーズン目。毎年シーズン最多勝を更新し、香港国際競走も全て勝っています。今後、どこか他の地域にベースを移すなど、将来的なプランはありますか?

「世界中どこでもレースに参加してみたいですが、移籍とかそういったことは特に考えていません。それよりも最近はチャリティに大変興味があります。Facebookで僕のファンページを作りましたので、どんどんフォローして、シェアして欲しいです。先日は中学校で講演もしました。その様子も載せています。フォロワーが増えれば、スポーツウェアなどのスポンサーも集まり、チャリティ活動の輪もどんどん広がります。みなさんも是非参加してください」

最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

「いつも応援ありがとうございます。日本も、日本の競馬ファンも、日本の競走馬も大好きです。ガンバリマス!」

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