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連覇を狙うアドマイヤマーズ。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

連覇狙うアドマイヤマーズ、三冠馬ゴールデンシックスティと激突

昨年の覇者アドマイヤマーズ、世代交代を狙う香港三冠馬ゴールデンシックスティ、これが引退レースとも報じられているマイル王ビューティージェネレーションなど、ハイレベルかつ多士済々のメンバーが顔をそろえた。香港国際競走の4レースで、香港マイルは最も見応えあるレースを楽しめそうだ。

日本の競馬ファンが注目するのは、やはりアドマイヤマーズの連覇なるかだろう。昨年は3歳馬として史上初の香港マイル制覇を成し遂げたように、まだ若く、伸びしろもある現状ならチャンス十分。今年は遠征先のドバイでレースが中止になるなど未勝利だが、3戦しか消化しておらず疲労の心配は少ない。その3戦で手綱を取った川田将雅騎手は前走の状態を最も評価しており、上積みもまだ望めそうだ。C.スミヨン騎手が直前で騎乗キャンセルになったのは誤算だが、代打のR.ムーア騎手は似たようなタイプのサーカスマキシマスの主戦で、前走のBCマイルでは今回も対戦するオーダーオブオーストラリアのクビ差2着。ライバルの力量を体感しているのはプラスだ。

ビューティージェネレーションは昨年から下降線をたどり、すでにピークを過ぎているのは明らかだが、それでも大きく衰えた訳ではない。重賞10連勝していた頃の印象が強烈なだけで、最近3シーズンで3着外は前走の1戦しかないように、戦績表は今もって超一流馬のそれだ。前走の6着は他馬より2.5kg以上重い60.5kgのトップハンデを負担した結果で、明け8歳馬にはさすがに酷というもの。定量戦の今回は巻き返せる。

史上2頭目の香港4歳三冠馬ゴールデンシックスティ。(Photo by Getty Images)

この両雄を負かして天下獲りを狙うゴールデンシックスティ。前哨戦のジョッキークラブマイル快勝で連勝を10に伸ばし、レース当日の地元でも1番人気が濃厚と日の出の勢いにある。香港競馬で10連勝は史上4頭目。先達にはサイレントウィットネス(香港スプリント連覇)、ビューティージェネレーション(香港マイル連覇)の名馬がいる。史上2頭目の4歳三冠という偉業も達成しているゴールデンシックスティの将来は約束されたようなものだ。ビューティージェネレーションに勝った過去2戦はハンデの恩恵を受けただけに、定量戦の香港マイルで胸を張って世代交代を告げたい。

昨年2着のワイククは次戦のスチュワーズCでG1初制覇を果たし、4月のチャンピオンズマイルでも3着と、層の厚い香港のマイル路線で地位を固めたが、今回は7か月半ぶりの休み明けが課題。前哨戦2着のカーインスターもスピードは魅力なものの、当時は同斤のゴールデンシックスティに完敗で逆転までは難しいかもしれない。不気味なのは前哨戦3着のサザンレジェンドで、当時はゴールデンシックスティより斤量が2.5kg重かった。2年前の香港マイルで3着の一方、昨年は香港ヴァーズに出走するなど今ひとつ路線が定まっていなかったが、4月のチャンピオンズマイルではビューティージェネレーションとの叩き合いを制しており、ここで上位争いに加わっても不思議はない。

その他の地元勢は格落ちが否めず、残るは欧州から参戦するG1ホース2頭に注目だが、香港マイルのG1昇格後、欧州調教馬は未勝利というデータの壁を破れるか。オーダーオブオーストラリアは前走のBCマイルがノーマークの番狂わせだけに今回は試金石。昨年のアドマイヤマーズが3歳馬で初制覇という例から、年齢的に難しい面もある。また、ローマナイズドは脚質的に注文がつくタイプ。香港のスピード競馬で末脚のキレが増すようなら面白いが、脚を溜められないリスクも抱えている。

(渡部浩明)