【凱旋門賞】市丸博司の見解
2017年09月29日 13:00
過去10年で6番人気以降の馬が3勝2着6回3着7回(15年までは現地、16年はJRAの人気)。1着だけはやや上位人気馬が優勢だが、2着以降は人気薄が平気でバシバシ突っ込んでくるレース。それが凱旋門賞である。
まずは、市丸流レーティング表をご覧いただきたい。
現地の天気予報によると、どうやら、馬場状態は日本流でいう重馬場~不良馬場で行われそうだ。フォワ賞の結果や陣営のコメントから、サトノダイヤモンドにとっては不利な条件と思っている方が多いのではないか。
だが、果たしてそうだろうか。過去の凱旋門賞で日本馬が2着したレースは4レースあるが、実はすべて日本流でいう重馬場もしくは不良馬場である。
フランスの重馬場は3種類あり、馬場がいい順にsouple、tres souple、collantとなっている。不良馬場も2種類あって、いいほうがlourd、最も重い馬場がtres lourdである。
エルコンドルパサーが2着した99年はそのtres lourd。ナカヤマフェスタが2着した10年はtres soupleで、オルフェーヴルがほとんど勝ちそうになった12年は不良に近いcollant、トレヴに5馬身差をつけられた13年は稍重に近いsoupleだった。
逆に昨年、マカヒキがまったく手も足も出なかったレースは良馬場。しかも平均以上のペースで流れて大レコードが飛び出した馬場だった。
その昨年の凱旋門賞で1~3着を独占したのはガリレオ産駒。ガリレオ産駒といえば、日本では不良馬場に強く、普通の良馬場ではスピード的についていけないレースが目立っている。つまり、昨年の凱旋門賞のような馬場・ペースは最も日本馬向きではないと考えて間違いないのではないか。
もしもサトノダイヤモンドが、少し雨が降っただけでも走れなくなるような重馬場苦手な馬だったら、今回もダメだろう。しかし、日本で走った新馬戦は重馬場だったが何も気にする素振りは見せなかった。2戦目の500万下も稍重にしては時計のかかる馬場だったが、まったく意に介さず圧勝してしまった。
この馬が重馬場苦手というのは、とってつけたような敗因にしか思えない。フォワ賞の敗因は、久々で初の海外競馬、そして仕上がり状態に尽きるのではないだろうか。
むしろ、人気が少しでもなくなる分、前走は負けてくれてよかったと思いたい。前哨戦の結果など、どうでもいい。要は本番で勝てばいいのだ。休み明けは厳しく、一度叩いたほうがいいのは過去の凱旋門賞が証明している。使って一変に賭けてみたいではないか。なにしろ、レベルの高い昨年のクラシックで、不利がなければ三冠を制していたかもしれない名馬だ。今回は自信を持ってサトノダイヤモンドを中心視してみたい。
相手はもちろんエネイブル。というより、圧勝に次ぐ圧勝で、1着はこの馬なのかという気がしないでもない。ただ、ローテーションはやはり厳しい。前走チャンピオンSを使った馬が活躍しているだけに、2400m前後を続けて使ってきたのもどうか。負けてしまう可能性も結構あるはずだ。
昨年の成績を考えても、オブライエン厩舎・ガリレオ産駒は押さえたほうがいいのだろう。しかし、こちらの希望通りの馬場になると仮定すれば、ガリレオ産駒こそ危ないという仮説も成り立つ。人気にもなるだろうし、ここは思い切って軽視してみたい。
ガリレオ産駒ではない馬を、市丸流レーティングの上位から抜き出すと、チンギスシークレット、ザラック、クロスオブスターズ、サトノノブレス、ブラムトの順となる。まったく見当違いの結果で恥をかくのは承知の上で、このあたりへ流してみたい。