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【世界の調教師紹介 Vol.12】ダレン・ウィアー

2018年11月21日 15:00

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2017/2018年シーズンにはヴィクトリア州のメトロポリタンにおける最多記録となる153勝を挙げたほか、全豪でもオーストラリア最多記録となる489 1/2勝(1/2勝は同着)をマーク。さらにオーストラリア・ヴィクトリア州のメトロポリタン(主要競馬)におけるリーディングにも2017/2018年シーズンまで5シーズン続けて輝いたトップ調教師だったが、2019年1月にヴィクトリア州警察による捜査が入り、競馬のルール上で所有が禁止されている馬に電気ショックを与えるための装置が押収された。そして同年2月に同州の上訴・懲戒委員会から資格停止4年の処分を受けた。しかし2018/2019年シーズンも1月までにメトロポリタンで93勝をあげており、5月末時点でも2位を30勝以上引き離しているのでシーズン首位となることが濃厚である。

ダレン・ウィアー調教師は1970年5月2日生まれ。ヴィクトリア州のベリウィロックという小さな町の牧場で育ち、15歳で学校を辞めて馬の世界に入った。名調教師C.ヘイズ(通算5333勝。ヴィクトリア州のメトロポリタンにおけるリーディングに13回)が築いた複合調教施設であるリンジーパークなどで経験を積んだ後、ヴィクトリア州スタウェルで装蹄師となった。やがて装蹄を手がけていたT.オサリバン調教師からの勧めもあって自身の厩舎を開業。1995年10月に初勝利を挙げた。

資格停止処分を受けた時点でメイン拠点となっていたヴィクトリア州バララットに移動したのは2001年のこと。すると、翌年5月にはシーズアーチーでSAオークスを制してG1初制覇。シーズアーチーはG1メルボルンカップでも2着になって、ウィアー調教師の名を世に知らしめた。

その後もしばらくは主にカントリー(メトロポリタンよりはレベルが少し落ちる競馬)で活躍していたが、徐々にメトロポリタンでも好成績を残しはじめ、ついに2013/2014年シーズンにヴィクトリア州のメトロポリタンで86勝を挙げて、リーディングタイトルを獲得。これで一流の評価を得ると、冒頭でも記したようにそこから5シーズン続けて首位の座に君臨。2015年11月にはプリンスオブペンザンスでG1メルボルンCを勝ったほか、パレンチノで2016年のG1オーストラリアンギニー、ヒューミドールで2017年のG1オーストラリアンカップを制すなどビッグレースも数多く制覇。また、トーセンスターダムで2017年にG1トゥーラックハンデキャップとG1マッキノンステークス、ブレイブスマッシュで2018年のG1フューチュリティステークスとG1マニカトステークスを制するなど元日本調教馬をG1勝利へと導いた。

近年のG1勝ち
2018年:
ウィンターボトムS(オーストラリア):ブードゥーラッド
ヴィクトリアダービー(オーストラリア):エクストラブリュ
マニカトS(オーストラリア):ブレイブスマッシュ
トゥーラックH(オーストラリア):ランドオブプレンティ
豪1000ギニー(オーストラリア):アンフィトライティ
メムジーS(オーストラリア):ヒューミドール
SAダービー(オーストラリア):レスター
オーストララシアンオークス(オーストラリア):ソプレサ
ランヴェットS(オーストラリア):ゲイローチョップ
ウィリアムレイドS(オーストラリア):ヘルベント
フューチュリティS(オーストラリア):ブレイブスマッシュ

2017年:
トゥーラックH(オーストラリア):トーセンスターダム
マッキノンS(オーストラリア):トーセンスターダム
ラドブロークスS(オーストラリア):ゲイローチョップ
マカイビーディーヴァS(オーストラリア):ヒューミドール
SAダービー(オーストラリア):ヴォラタイルミックス
オーストラリアンC(オーストラリア):ヒューミドール
フューチュリティS(オーストラリア):ブラックハートバート
C.F.オーS(オーストラリア):ブラックハートバート

2016年:
キングストンタウンクラシック(オーストラリア):ストラタムスター
アンダーウッドS(オーストラリア):ブラックハートバート
マカイビーディーヴァS(オーストラリア):パレンチノ
メムジーS(オーストラリア):ブラックハートバート
ザ・グッドウッド(オーストラリア)ブラックハートバート
SAダービー(オーストラリア):ハワードビーザイネーム
オーストラリアンギニー(オーストラリア):パレンチノ

文:秋山 響(TPC)