【世界の調教師紹介 Vol.20】ウェスリー・ウォード
2019年06月26日 15:00
1968年3月3日、アメリカ・ワシントン州生まれ。
調教師である父デニスの下で育ち、小さい頃から馬に親しむ。12歳になるころにはすでにフェア競馬で騎手として勝利を挙げていたという。
1984年に16歳でプロとなり、ニューヨーク州やニュージャージー州を中心に騎乗。デビュー年から勝ちまくって、この年は通算335勝(2094戦)。米最優秀見習い騎手に選ばれる活躍を見せた。
しかし、その後は体重のコントロールに苦しみ、イタリア、シンガポールなどでの騎乗を経て、1989年に21歳の若さで騎手を引退。騎手としてはアメリカでG3を2勝挙げるに留まり、G1を勝つことは出来なかった。
引退後はしばらく父の厩舎を手伝っていたが、1991年に自身の厩舎をカリフォルニアで開業(現在は拠点を移して、ケンタッキーとフロリダがメイン)。同年1月にワシントン州のヤキマメドウズ競馬場で初勝利を挙げ、1994年にはG3ウィルロジャースハンデキャップ(芝8.5ハロン)をアンフィニッシュドシンフで制して重賞初制覇を果たした。
特筆すべきは、芝のスピード馬(特に2歳馬)を育てる手腕で、2009年にはイギリスのロイヤルアスコット開催で行われるウィンザーキャッスルステークス(リステッド・2歳・芝5ハロン)をストライクザタイガーで制し、アメリカに拠点を置く調教師として史上初めてロイヤルアスコット開催で優勝。この年は翌日もジェラスアゲインでG2クイーンメアリーステークス(2歳牝馬・芝5ハロン)に優勝している。ロイヤルアスコット開催ではその後も2015年のG1ダイアモンドジュビリーステークス(芝6ハロン)をアンドラフテッド、2017年のG1キングズスタンドステークス(芝5ハロン)をレディオレリア、2021年のG1コモンウェルスカップをカンパネッレで制するなど2021年終了時点で計12勝を挙げている。
また、2014年にノーネイネヴァーで優勝してG1初制覇を果たしたフランスの2歳G1モルニー賞(芝1200m)には2016年と2020年にそれぞれレディオレリアとカンパネッレで優勝。レディオレリアはロイヤルアスコットのG2クイーンメアリーステークスも制した実績が評価されて、アメリカ調教馬として史上初めてカルティエ賞を受賞した(タイトルは欧州最優秀2歳牝馬)。
アメリカでは2014年4月にジュディザビューティーでG1マディソンステークス(AW7ハロン)を制してG1初制覇。ジュディザビューティーではこの年の11月にG1ブリーダーズカップフィリー&メアスプリント(ダート7ハロン)にも優勝している。
近年のG1勝ち
2021年
コモンウェルスC(イギリス):カンパネッレ
マディソンS(アメリカ):キマリ
2020年
モルニー賞(フランス):カンパネッレ
2017年
キングズスタンドS(イギリス):レディオレリア
2016年
モルニー賞(フランス):レディオレリア
文:秋山 響(TPC)