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【世界の調教師紹介 Vol.23】ウィリアム・ハガス

2019年09月04日 15:00

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ウィリアム・ハガス調教師は1960年8月23日、イギリス生まれ。イギリスを代表する名門校であるハーロー校の出身で、学生時代はクリケットのキャプテンを務めた。卒業後、馬主でもあった父が経営する織物工場で働いていたが、3か月で辞めて、父が預けていたJ.ヒンドリー厩舎の門を叩いて競馬の世界に飛び込んだ。母は障害のビッグレースであるチェルトナムゴールドカップの勝ち馬シルヴァーバックを所有した馬主。

イギリスのM.プレスコット調教師やJ.ウィンター調教師の下で修行を積んだ後、1986年に今も拠点とするサマーヴィルロッジで厩舎を開業。翌年4月15日にトリッキーノートで初勝利を挙げた。90年代前半にはG2シャンペンステークスなどを制したボグトロッターが活躍したが、その名を大きくアピールしたのはシャーミットによる1996年のG1英ダービー制覇。シャーミットは前年11月のメイドン優勝以来、約7か月ぶりの実戦であり、当時35歳だったハガス調教師の手腕も大きくクローズアップされた。

その後も2000年のG1伊グランクリテリウムをカウントデュボワ、2004年のG1プリティポリーステークスをコーリスト、2009年のG1ムーランドロンシャン賞をアクラーム、G1モーリスドゲスト賞をキングズアポッスルで制するなど活躍し、2011年にはダンシングレインでG1英オークスに優勝して英クラシック2勝目をマーク。その後も2014年にはムハドラムでG1エクリプスステークス、2016年にはリヴェットでG1レーシングポストトロフィーにも勝った。

ハガス厩舎所属だったシーオブクラスはG1レースで2勝を挙げた。(Photo by Press Association)

2018年は過去最良のシーズンとなり、シーオブクラス(2019年7月に死亡)でG1愛オークス、G1ヨークシャーオークスを制したほか、アーバンフォックスでG1プリティポリーステークス、ワンマスターでG1フォレ賞にも優勝。エリザベス女王の愛馬コールトゥマインドで制したG2ベルモントゴールドカップ招待ステークスも含めた重賞勝ちも自己最多の13勝に上った。

妻モリーンは、英ダービー9勝の名手、レスター・ピゴットの娘。

近年のG1勝ち
2018年:
フォレ賞(フランス):ワンマスター
ヨークシャーオークス(イギリス):シーオブクラス
愛オークス(アイルランド):シーオブクラス
プリティポリーS(アイルランド):アーバンフォックス

2016年:
レーシングポストトロフィー(イギリス):リヴェット

文:秋山 響(TPC)