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【愛チャンピオンS回顧】A.オブライエン勢の壁の前にディアドラ連勝ならず

2019年09月16日 12:00

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 G1英インターナショナルステークスに勝ったジャパンが凱旋門賞直行に舵を切って、ここを回避、2着だったクリスタルオーシャンも脚部不安の発症によって電撃引退が発表されるなど、ここに出てくれば有力視されたであろう馬の姿はなし。夏の気配を残したレパーズタウン競馬場を舞台とする欧州2000m路線の基幹レースには、欧州で3戦目を迎えたディアドラを含む8頭が参戦した。

 JRA1番人気は、このレースに4頭の管理馬を送ったA.オブライエン厩舎のエース、マジカル。鞍上にR.ムーア騎手が配されて現地オッズ(2.8)を上回る1.5倍の支持を集めた。6.0倍の2番人気はG1英インターナショナルS3着だったエラーカム。現地では同馬主のマッドムーンと同じ5.0倍の2番人気タイとなった。前走のナッソーステークスで牝馬の一線級を退けて歴史的な勝利を飾ったディアドラはJRA8.4倍の3番人気、現地では11.0倍の5番人気で出走。英ダービー優勝馬ながら前走のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスで、勝ち馬のエネイブルから6秒以上も離れた10着に大敗したアンソニーヴァンダイクはJRA15.5倍の6番人気、現地でも13.0倍と人気を落とした。

 2コーナーの終わり付近に置かれたスターティングゲートから勢いよく飛び出した8頭は1番枠を引いたハンティングホーンを先頭に左に折れて一団となって向正面を進んだ。人気のマジカルはいつものように牝馬離れした猛々しさをのぞかせながら同厩舎の先導馬の真後ろに位置し、その直後の内にアンソニーヴァンダイク、外にエラーカムが追走。マジックワンド、マッドムーンを挟んでディアドラと3連勝中のヘッドマンが最後方を追走した。

 先頭から最後尾のヘッドマンまでが約8馬身差の間隔に収まって緩やかな左カーブを通過。欧州の競馬場にしては短い約400mの直線へ入るところで、マジカルが満を持して先頭に立って後続を突き放した。馬場の半ばを通ってマジックワンド、外からヘッドマン、内から二の脚を使ってアンソニーヴァンダイクが差を詰める。O.マーフィー騎手のディアドラは狙った内が開かずに進路を外に切り替えて猛追したが、時既に遅し。2着争いを尻目に堂々と押し切ったマジカルが完勝。ペースをつくったハンティングホーンのアシストもあって下馬評通りの結果を呼び込んだ。2馬身1/4の差があって2着にマジックワンド、さらにアタマ差でアンソニーヴァンダイクが続き、ガリレオを父に持つオブライエン厩舎の所属馬が3着までを独占した。ディアドラは脚を余しての4着。マジカルとの差は3馬身弱だった。良馬場の勝ちタイムは2649

内が開かずに外に出してから猛然と追い込むも4着までだったディアドラ。(Photo by Photostud)

 G13勝し、G1英オークスとG11000ギニーでそれぞれ2着した名牝ロードデントロンの全妹となるマジカルは、これが今シーズン7戦目で重賞ばかり4勝目(通算では198勝、26回、G13勝目)。上半期は413日のG3アレッジドステークス、56日のG2ムーアズブリッジステークス、526日のG1タタソールズゴールドカップまで同厩舎のフラッグオブオナーが先導役となって3連勝を飾ったが、近3走は道悪のG1プリンスオブウェールズステースがクリスタルオーシャンの2着、G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSG1ヨークシャーオークスは宿敵エネイブルの前に敵わず2着を続けていた。

 移動のチャーター便でトラブルがあったディアドラだが、橋田満調教師は「状態も気配も良い感じでしたが、直線で内が開かずに外へ切り替えた分、遅れてしまいました」とコメント。鞍上のO.マーフィー騎手も「ペースも速く厳しいレースで、そして直線でスペースがなくなってしまいました。もっと差を詰められたと思います」と、能力で見劣らなかったことを明らかにした。

 オブライエン調教師は、2着に健闘したマジックワンドを12月のG1香港カップへ向け、3着アンソニーヴァンダイクについては凱旋門賞をスキップして米国のG1ブリーダーズカップターフに向かわせる可能性もあることに言及した一方で、ハードスケジュールにも関わらず秋を迎えて充実著しいマジカルの進路については未定としている。

(サラブレッドインフォメーションシステム 奥野 庸介)

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