02/29 11:15
米競馬殿堂入りの最終候補、ジャスティファイやガンランナーらが選出
プロフィール
丈夫で長持ち、そして高品質な製品はハイブランドの特長といえるが、ガンランナーという競走馬もそうした条件を備えていた。2歳秋のデビューから明け5歳に引退するまでの19戦で着外は2回のみ。3戦目から重賞を17連戦してG1レース6勝を含む10勝と堅実に活躍し、ついには全米王者まで上り詰めた。引退後は種牡馬としても早々に成功するなど、競走馬のオーナーにとって理想のような存在だ。
ガンランナーの競走生活を振り返ると、1頭の強敵が対照的な存在として浮かび上がる。同世代の最前線に突如として姿を現し、一気に頂点へ駆け上がったアロゲートがその馬だ。アルプスの山肌を思わせる鋭角的な上昇力でダート戦線を席巻した同期生に対し、ガンランナーは文字通りに大差をつけられる関係性となるも、富士山のように滑らかな成長曲線を描いて追いつき、やがて追い越すに至った。
ガンランナーは現役時代にG2勝ちの母、その半兄に2005年のエクリプス賞年度代表馬セイントリアムがいる良血馬で、2歳9月からデビュー2連勝で順調にキャリアをスタートした。3戦目に不良馬場で初黒星を喫するも、3カ月の休養から明けた3歳初戦のリズンスターSで重賞初制覇。続くルイジアナダービーも勝ってケンタッキーダービーの有力候補に名乗りを上げた。
しかし、日本からラニも参戦した本番では、逃げる2歳王者ナイキストの背後から突き放されて3着に惜敗。三冠戦の残りは見送って仕切り直しのG3を圧勝したが、次戦のハスケル招待Sも3戦目と同様の不良馬場で生涯最悪の5着に敗れてしまう。KYダービーも発表こそ良馬場(Fast)だったが、部分的に水が浮くような馬場状態。馬場状態がもう少し良ければ、あるいは結果が違っていたのかもしれない。
ただ、次戦の“真夏のダービー”ことトラヴァーズSで、そんな「たられば」など一笑に付すような怪物と遭遇する。KYダービーの頃には未勝利で、はるか格下だったアロゲートが彗星の如く現れると、ガンランナーは影も踏めずに15馬身差をつけられて完敗。秋にBCダートマイル2着からクラークHでG1初制覇を飾ったものの、ワールドベストレースホースランキング首位に輝くアロゲートの陰で3歳のシーズンを終えた。
4歳を迎えたガンランナーは初戦のG3レイザーバックHをトップハンデで圧勝し、次戦のドバイWCへ弾みをつけた。しかし、その前にトラヴァーズS以来の対戦となったアロゲートが立ちはだかる。ガンランナーは出遅れたアロゲートから15馬身ほど先行しながらもリードを守れず2着。内容的には初対戦で喫した以上の完敗だった。
ところが、決定的と追われた両雄の差が、この対戦を境にして入れ替わっていく。ガンランナーは帰国初戦のスティーブンフォスターHを7馬身差、続くホイットニーSも5馬身1/4差、さらにウッドワードSは10馬身1/4差とG1レースをワンサイドで3連勝。一方、アロゲートはまさかの2連敗と精彩を欠いた。そして、両雄はBCクラシックで3度目の直接対決を迎えると、ガンランナーがアロゲートに6馬身1/4差をつけて雪辱を果たし、エクリプス賞年度代表馬を受賞。ペガサスWCでG1レース6連勝として有終の美を飾った。
北米歴代2位(当時)の獲得賞金1598万8500ドルを記録して種牡馬入りしたガンランナーは、初年度産駒のエコーズールーがBCジュベナイルフィリーズを制すなど新種牡馬リーディングに輝き、さらにアーリーヴォーティングはプリークネスS、テイバもサンタアニタダービー勝ちと早々に成功を決定づけた。
生年 | 2013 |
---|---|
性別 | 牡 |
毛色 | 栗毛 |
父 | Candy Ride |
母 | Quiet Giant |
母父 | Giant's Causeway |
調教師 | S.アスムッセン |
生産者 | Besilu Stables, LLC |
馬主 | Winchell Thoroughbreds Llc And Three Chimneys Farm |
通算成績 | 19戦12勝[12-3-2-2] |
開催日 | 場所 | レース名 | 動画 | 着順 | 騎手 | トラック | 距離 | 馬場状態 |
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2018/01/27 | ガルフストリームパーク | ペガサスワールドカップ(G1) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1800 | 良 | |
2017/11/04 | デルマー | ブリーダーズカップクラシック(G1) | 1 | F.ジェルー | ダート | 2000 | 良 | |
2017/09/02 | サラトガ | ウッドワードステークス(G1) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1800 | 良 | |
2017/08/05 | サラトガ | ホイットニーステークス(G1) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1800 | 良 | |
2017/06/17 | チャーチルダウンズ | スティーブンフォスターハンデキャップ(G1) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1800 | 良 | |
2017/03/25 | メイダン | ドバイワールドカップ(G1) | 2 | F.ジェルー | ダート | 2000 | 重 | |
2017/02/20 | オークローンパーク | レイザーバックハンデキャップ(G3) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1700 | 良 | |
2016/11/25 | チャーチルダウンズ | クラークハンデキャップ(G1) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1800 | 良 | |
2016/11/04 | サンタアニタパーク | ブリーダーズカップダートマイル(G1) | 2 | F.ジェルー | ダート | 1600 | 良 | |
2016/09/24 | パークスレーシング | ペンシルベニアダービー(G2) | 2 | F.ジェルー | ダート | 1800 | 良 | |
2016/08/27 | サラトガ | トラヴァーズステークス(G1) | 3 | F.ジェルー | ダート | 2000 | 良 | |
2016/07/31 | モンマスパーク | ハスケル招待ステークス(G1) | 5 | F.ジェルー | ダート | 1800 | 不良 | |
2016/06/18 | チャーチルダウンズ | マットウィンステークス(G3) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1700 | 良 | |
2016/05/07 | チャーチルダウンズ | ケンタッキーダービー(G1) | 3 | F.ジェルー | ダート | 2000 | 良 | |
2016/03/26 | フェアグラウンズ | ルイジアナダービー(G2) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1800 | 良 | |
2016/02/20 | フェアグラウンズ | リズンスターステークス(G2) | 1 | F.ジェルー | ダート | 1700 | 良 | |
2015/11/28 | チャーチルダウンズ | ケンタッキージョッキークラブステークス(G2) | 4 | R.サンタナJr. | ダート | 1700 | 不良 | |
2015/10/17 | キーンランド | 条件戦 | 1 | R.サンタナJr. | ダート | 1700 | 良 | |
2015/09/11 | チャーチルダウンズ | 未勝利戦 | 1 | R.サンタナJr. | ダート | 1600 | 良 |
距離 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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~1400m | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
1401m~1800m | 11 | 2 | 0 | 2 | 15 | 73% | 87% | 87% |
1801m~2100m | 1 | 1 | 2 | 0 | 4 | 25% | 50% | 100% |
2101m~ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
馬場状態 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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良馬場 | 12 | 2 | 2 | 0 | 16 | 75% | 88% | 100% |
稍重馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
重馬場 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0% | 100% | 100% |
不良馬場 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0% | 0% | 0% |