05/21 12:05
セレクトセール2024に怪物フライトラインの初年度産駒が上場、母はいずれもG1馬
プロフィール
3歳からの2シーズン、実際には1年半ほどの期間を異次元のスピードで駆け抜けたフライトライン。わずか6戦で2着馬に合計71馬身差をつけ、無敗のまま史上最強馬へと上り詰めた閃光のような走りには、目撃者たちに畏怖と幸福の念を同時に抱かせる圧倒的な力が宿っていた。
フライトラインは仔馬の頃から人の目を引きつける存在感を放っていたという。サマーウインドファームに2015年の三冠馬アメリカンファラオの半弟を見学にいったウエスト・ポイント・サラブレッズ(WPT)の代理人が、三冠馬の弟よりも「茶色の馬」に魅了された。報告を受けたWPTのCEOは仔馬に高値がつくと予想して他の馬主にも出資を呼びかけ、2019年のサラトガ当歳セールに上場されると1日目の最高額となる100万ドルで落札。仔馬はフライトラインと名づけられ、期待とともにデビューを待つ運びとなった。
しかし、その競走生活は大半がケガとの戦いとなる。フライトラインは2歳になったばかりの2020年1月、馴致のために送られたフロリダの牧場で何かに驚いて暴れ、馬房の扉の留め金に尻尾の辺りを引っ掛けて深手を負った。さらには新型コロナウイルスの大流行によりスケジュールが滞り、J.サドラー調教師の下で調教を開始後も脚を打撲するなど、デビューは同世代がケンタッキーダービーを争う約1週間前の2021年4月24日まで遅れた。
フライトラインはダート6ハロンの初陣で13馬身1/4差の鮮烈な勝利を飾り、ダービーの話題で盛り上がる競馬メディアに注目馬として取り上げられた。ところが、小さな爪痕を残した一方で今度は蹄を負傷。初夏に予定していた次戦を見送り、2戦目は9月までずれ込むことになる。
2戦目をデルマー競馬場のダート6ハロンで迎えたフライトラインは、条件戦ながら古馬を含む相手に12馬身3/4差で楽勝し、2か月後に同舞台で行われるBCスプリント参戦を期待される存在となった。しかし、陣営は無理をさせずに年末まで間隔を空け、3戦目に3歳馬同士のG1マリブSを選択すると、一気の相手強化と7ハロンへの距離延長を全く問題にせず11馬身1/2差の大勝を収めた。この時、牧場の同期生で後にトリプルタップと名づけられた三冠馬の弟には18馬身余りの差をつけている。
こうして、フライトラインのただならぬ能力が全米はもちろん、世界的にも知られるようになったが、後肢のヒザに不安が出て再び休養を余儀なくされ、半年後の6月にようやく4歳初戦を迎えることになった。そのメトロポリタンHは出遅れて逃げ馬の真後ろに入り、初めて砂を浴びせられる格好になるも、初の1マイルをノーステッキで6馬身差の完勝。サドラー師は次戦で10ハロンのパシフィッククラシック挑戦を明言した。
スプリント戦で大勝するスピードに加え、過去3戦より着差の縮まったメトロポリタンHの内容から、さらなる距離延長を不安視する意見もあった。しかし、フライトラインが本領を発揮するのはここからだった。結果的に次のBCクラシックで引退することになるが、事前の狙い通りに臨めたレースはこれら2戦だけ。そして、パシフィッククラシックでは2番手から向正面で先頭に立つと見る見る差を広げ、鞍上のF.プラが何度も後ろを振り返る余裕で19馬身1/4差を開く衝撃的なパフォーマンスを披露する。
2着のカントリーグラマーはドバイWCの優勝馬で、いわばダート中距離の暫定王者というべき強豪。その実力馬を全く寄せつけない走りは、シガーのレーティング135を超え、ダート馬として史上最高の139に評価された。もはや現役に敵なしは明白。比較対象を国際的な評価基準がなかった時代のセクレタリアトら伝説の名馬のみとしたフライトラインは、出走全8頭がG1ホースのBCクラシックでも気合いづけのステッキ一発だけで着差レコードとなる8馬身1/4差の圧勝を収めると、翌日には引退と種牡馬入りが発表された。
フライトラインの種付け料は初年度から破格の20万ドルに決定。種付け権利の2.5%分が460万ドルで落札されるなど話題を振りまき、年明けにはエクリプス賞年度代表馬に選出された。そして、2022年の「ワールドベストホース」にも選ばれると同時に、パシフィッククラシックのレーティングが140に上方修正され、芝で無敗のフランケル(2012年)と並び史上最強の玉座に蹄を置いたのだった。
生年 | 2018 |
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性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | Tapit |
母 | Feathered |
母父 | Indian Charlie |
調教師 | J.サドラー |
生産者 | Summer Wind Equine |
馬主 | Hronis Racing LLC, Siena Farm LLC Et Al |
通算成績 | 6戦6勝[6-0-0-0] |
開催日 | 場所 | レース名 | 動画 | 着順 | 騎手 | トラック | 距離 | 馬場状態 |
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2022/11/05 | キーンランド | ブリーダーズカップクラシック(G1) | 1 | F.プラ | ダート | 2000 | 良 | |
2022/09/03 | デルマー | パシフィッククラシック(G1) | 1 | F.プラ | ダート | 2000 | 良 | |
2022/06/11 | ベルモントパーク | メトロポリタンハンデキャップ(G1) | 1 | F.プラ | ダート | 1600 | 良 | |
2021/12/26 | サンタアニタパーク | マリブステークス(G1) | 1 | F.プラ | ダート | 1400 | 良 | |
2021/09/05 | デルマー | 条件戦 | 1 | F.プラ | ダート | 1200 | 良 | |
2021/04/24 | サンタアニタパーク | 未勝利戦 | 1 | F.プラ | ダート | 1200 | 良 |
距離 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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~1400m | 3 | 0 | 0 | 0 | 3 | 100% | 100% | 100% |
1401m~1800m | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 100% | 100% | 100% |
1801m~2100m | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 100% | 100% | 100% |
2101m~ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
馬場状態 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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良馬場 | 6 | 0 | 0 | 0 | 6 | 100% | 100% | 100% |
稍重馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
重馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
不良馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |