米G1プリークネスS、ジャーナリズムが大きな不利を跳ね返して劇的勝利
2025年05月18日 15:08

米クラシック二冠目のG1プリークネスステークス(3歳、ダート9.5ハロン)が現地17日にピムリコ競馬場で行われ、1番人気のジャーナリズムが中団から進出した直線入口で姿勢を崩すほどの大きな不利を受けるも、2番手から押し切り寸前の7番人気ゴスジャーを驚異的な巻き返しで差し切った(1/2馬身差)。
五分の発馬を決めたジャーナリズムは、逃げる2番人気クレバーアゲインから5馬身ほどの6番手に収まり内ラチ沿いを追走。第3コーナーで一度は外に進路を求めるも、馬群が広がるのを見て再びラチ沿いに戻り、1頭分空いたスペースから進出すると直線入口で先頭を射程圏に入れた。
しかし、自身の直前から外に切り替えた4番人気のゴールオリエンテッドと失速して下がるクレバーアゲインの間に開いたわずかなスペースを狙うと、ゴールオリエンテッドが内に刺さってジャーナリズムとクレバーアゲインを押圧。2頭とも大きく姿勢を崩す致命的な不利を受ける。それでもジャーナリズムはゴールオリエンテッドを押し返すようにして体勢を立て直すと、スムーズに抜け出したゴスジャーを猛然と追撃。最後の数完歩で差し切った。
両馬から2馬身1/4差の3着には最後方の9番手で中間点を通過した3番人気のサンドマンが続き、ゴールオリエンテッドはさらに4馬身離された4着まで。クレバーアゲインは不利を受けた直後から鞍上が追うのを止めて最下位でのゴールとなった。
ジャーナリズムはM.マッカーシー調教師が管理するカーリン産駒の牡馬で、前々走のサンタアニタダービーに続く2度目のG1制覇(重賞4勝目)。1番人気ながら2着に敗れた前走のケンタッキーダービー時は少頭数の経験しかないことを不安視されていたが、抜群の勝負根性を証明して見事にクラシックの栄冠を手にした。
米競馬メディア『bloodhorse.com』は、ジャーナリズムの劇的な勝利を馬名になぞらえて「ピューリッツァー賞もののドラマ」と表現。絶望的な状況を覆して勝利をつかんだ走りを、1973年に追い込みを決めたセクレタリアト、1989年に壮絶な叩き合いを演じたサンデーサイレンスとイージーゴアの激闘に並ぶ偉大なパフォーマンスと称賛している。
2021年のロンバウアー以来となる2度目のプリークネスS制覇としたマッカーシー師は「あれ(ぶつかった場面)を見た時には、また頑張りはしたけど残念ながら少しだけ足りないことになるのだろうと思った」「ウンベルト(リスポリ騎手)とジャーナリズムの粘り強さはあっぱれだね。今日はチャンピオンになるために必要なことを皆に見てもらえたと思う。今日は彼の日だった」と人馬に最敬礼した。
また、イタリア人として三冠戦初勝利となったリスポリ騎手は「小さなスペースができた際に“今か二度とないか”と思った」「彼は手前を替えたらグンと伸びたんだ」と勝負を分けた場面を振り返り、「ゴールした瞬間、20年間の騎乗経験が全て目の前に現れた。あんなチャンピオンに乗れるようになるまで、本当に長い間待たなければならなかった」と勝利に浸った。