沿革
凱旋門賞(G1)
2019年10月6日(日)16:05(日本時間 23:05)
フランス パリロンシャン競馬場
芝右2400m 3歳以上(セン馬不可)
負担重量:4歳以上=牡馬59.5kg、牝馬 58kg 3歳=牡馬 56.5kg、牝馬 55㎏
賞金総額:500万ユーロ(約6億円)
1着賞金:285万7000ユーロ(約3億4284万円)
※1ユーロ=120円で換算
凱旋門賞が創設されたのは1920年(大正9年)のことで、第一次大戦におけるフランスの戦勝記念と、戦時下で衰退した競馬産業の再生を目的としていた。2019年で創設100年目を迎えることになるが、第二次大戦中の1939年と1940年は開催を見送られたため今年で98回目。100回に迫る歴史と伝統、最高レベルの賞金規模を兼ね備え、世界でも屈指の大レースとしての地位を不動の物としている。
2016年から2017年にかけては舞台となるパリロンシャン競馬場のスタンド改修工事に伴いシャンティイ競馬場で代替開催された。2018年の競馬場新装時には直線の内側に進路が広がるオープンコースが設けられて話題を呼んだが、当初から芝の根つきをはじめ路盤の状態が安定せず、凱旋門賞の直前になって使用が取りやめになるなど混乱を招く事態となった。
凱旋門賞は歴史的に地元のフランス調教馬が優勢で、過去50年を振り返っても29勝と過半数を超えている。しかし、近年は外国調教馬に押され気味となり、昨年までの10年でフランス調教馬は3勝に留まっている。その3勝とも牝馬が挙げており、2勝はトレヴの連覇(2013、2014年)によるもの。けん引役を担ってきた3歳牡馬は2006年を最後に優勝から遠ざかるなど潮流に変化が生じている。
トレヴの連覇もその一端を示すもので、当時は36年ぶり史上6頭目、牝馬では77年ぶり2頭目の快挙だったが、2017年からは英国の牝馬エネイブルも連覇を達成しており、2019年の今回に史上初の3連覇が懸かる。両馬を含め最近10年で牝馬が7勝と、凱旋門賞は牝馬の時代を迎えている。また、4歳以上の古馬と3歳馬との間に3kgもの斤量差(牝馬は1.5kg減)があるため、3歳馬が過去97回で60勝と約6割の勝率を築いており最近10年でも6勝。トレヴとエネイブルの名牝2頭は、それぞれ3歳と4歳で1勝ずつしている。
なお、トレヴとエネイブル以外では、クサール(1921、1922年)、コリーダ(1936、1937年)、タンティエーム(1950、1951年)、リボー(1955、1956年)、アレッジド(1977、1978年)が連覇を達成している。エネイブルが3連覇を成し遂げれば、主戦を務めるL.デットーリ騎手は史上3人目の3連覇で、自身の持つ凱旋門賞の最多勝利記録を7勝へ更新することになる。
<調教国別の勝利数>
フランス 66頭
イギリス(UAE含む) 15頭
アイルランド 8頭
イタリア 6頭
ドイツ 2頭
UAEの3頭はいずれもS.ビン・スルール調教師の管理馬であり、ハイシーズンは英国のニューマーケットを拠点にしているため、欧州域外の調教国は実質的に未勝利扱い。2着まで対象を広げても、欧州域外の該当馬は日本のエルコンドルパサー(1999年)とナカヤマフェスタ(2010年)、オルフェーヴル(2012、2013年)、ニュージーランドのバルメリーノ(1977年)の4頭(計5回)しかいない。
日本調教馬は2018年のクリンチャーまで21頭が計23戦し、前記3頭による2着(計4回)が最高。欧州域外からの挑戦としては例外的な健闘を見せているが、他に5番手以内でゴールしたのはディープインパクト(3位入線も失格)、キズナ(4着)の2頭しかおらず、2016年以降は計4頭がいずれも2桁着順に沈んで停滞している。
騎手の最多勝利記録は前述の通りエネイブルで連覇中のデットーリ騎手が6勝で単独首位。調教師は7勝を挙げている地元フランスのA.ファーブルが単独最多に立っている。同師の勝利は2006年のレイルリンクが最後となっているものの、2015年にフリントシャー(2着)とニューベイ(3着)、2017年と2018年にもクロスオブスターズで3着圏内を確保。今年も昨年4着のヴァルトガイストを出走させる。また、英国のJ.ゴスデン調教師は最近5年で3勝、アイルランドのA.オブライエン調教師は2016年に上位3着までを独占と、世界有数の大レースらしく名伯楽が存在感を発揮している。