凱旋門賞

2022/10/2(日) 23:05発走 パリロンシャン競馬場

沿革HISTORY

凱旋門賞(G1)
2022年10月2日 (日) 23:05[現地時間 2022年10月2日 (日) 16:05]
フランス パリロンシャン競馬場
芝右2400m 3歳以上(セン馬不可)
負担重量:4歳以上=牡馬59.5kg、牝馬 58kg 3歳=牡馬 56.5kg、牝馬 55㎏

賞金総額:500万ユーロ(約7億円)
1着賞金:285万7000ユーロ(約4億円)
※1ユーロ=140円で換算



凱旋門賞の創設は今から102年前の1920年。年明け早々にヴェルサイユ条約が締結されて国際連盟が発足し、日本(大正9年)では3月に第一次世界大戦による好況が失速して戦後恐慌の波に飲まれていくなど、大戦の影響が色濃く残る時代だった。凱旋門賞の創設も戦争と無縁ではなく、第一次大戦におけるフランスの戦勝記念と、戦時下で衰退した競馬産業の再生を目的としていた。

第二次世界大戦では大きな影響を受け、1939年と1940年は中止。2016年と2017年はロンシャン競馬場の改修工事に伴いシャンティイ競馬場での代替開催となった。2回の中止があるため、昨年に記念すべき第100回開催を迎えている。

戦績はさすがに地元馬が優勢で、全100回のうち68勝と勝率は7割に迫る。ただ、1990年から2009年までの20回ではフランス勢が14勝(勝率7割)と圧倒していたが、2010年以降の12回では5勝と勝率5割に満たない。その一方で英国調教馬の4頭をはじめドイツ調教馬が2頭、アイルランド調教馬が1頭と、現状は優勝国が分散傾向にある。ドイツの2頭は2011年のデインドリーム、2021年のトルカータータッソだが、ドイツ調教馬は20世紀中の79回で1頭しか優勝していなかった。

また、傾向の変化は2005年に仏ダービーの距離が2400mから2100mに短縮されたこととも因果関係が深そうで、1990年から2006年までの17回ではフランスの3歳牡馬が計11勝と他を圧倒していたが、2007年以降の15回では1頭も優勝していない。代わって台頭したのが牝馬で、2007年以降はトレヴとエネイブルの連覇を含む計8勝と過半数に及ぶ。

<調教国別の勝利数>
フランス 68頭
イギリス 15頭
アイルランド 8頭
イタリア 6頭
ドイツ 3頭

イギリスの15頭にはゴドルフィン所有の3頭が含まれている。北半球の冬場は温暖なアラブ首長国連邦(UAE)で管理されるが、ハイシーズンはイギリスのニューマーケットを拠点にしており、欧州域外からは実質的に未勝利。2着まで対象を広げても、欧州域外からは日本のエルコンドルパサー(1999年)とナカヤマフェスタ(2010年)、オルフェーヴル(2012、2013年)、ニュージーランドのバルメリーノ(1977年)の延べ5頭しかいない。

日本調教馬は2021年まで27頭が計29戦し、前記3頭による2着(計4回)が最高。欧州域外からの挑戦としては健闘している。しかし、これらの他に5番手以内でゴールしたのはディープインパクト(3位入線後に失格)、キズナ(4着)の2頭しかおらず、2014年以降は計13頭が挑んで8頭が10着以下と不振に陥っている。

なお、4歳以上の古馬と3歳馬の比較では歴史的に3歳馬が優勢だが、21世紀以降は3歳馬が11勝、古馬が10勝とほぼ互角。最近10回に至っては3歳馬が3勝にとどまり、そのうち2勝には連覇を果たしたトレヴとエネイブルが3歳時に挙げた物が含まれる。なお、仏ダービーに出走した3歳牡馬の退潮は著しいものの、2019年のヴァルトガイストと2020年のソットサスは仏ダービーでの連対経験から古馬になって凱旋門賞を制している。ヴァルトガイストは2002年のマリエンバード以来となる5歳での勝利だった。

連覇は上記のトレヴ(2013、2014年)とエネイブル(2017、2018年)のほかにクサール(1921、1922年)、コリーダ(1936、1937年)、タンティエーム(1950、1951年)、リボー(1955、1956年)、アレッジド(1977、1978年)の計7頭が達成している。

人物ではL.デットーリ騎手の6勝、A.ファーブル調教師の8勝が単独最多の勝利記録。ファーブル師にとって2019年のヴァルトガイストは13年ぶりの勝利だった。また、英国のJ.ゴスデン調教師は2015年以降に3勝(2着1回)、アイルランドのA.オブライエン調教師は2016年に上位3着までを独占と、欧州を代表する名伯楽たちが存在感を発揮している。