夏以降に優勝候補が二転三転してきた今年の凱旋門賞戦線にあって、急浮上してきた感のあるルクセンブルクだが、2歳時には出世レースのG2ベレスフォードSとG1フューチュリティトロフィーを連勝するなど、3戦無敗でクラシックの有力候補に挙げられていた。

しかし、3歳初戦として迎えた英2000ギニーでは出遅れから3着で初黒星。その後に脚部不安を発症して英・愛ダービーとも戦うことなく無冠に終わってしまった。それでも、英2000ギニーから3か月半後の愛G3ロイヤルホイップSで古馬を相手に復帰戦を飾ると、さらに2か月を空けた前走のG1アイリッシュチャンピオンSではパリ大賞勝ちのオネスト、仏ダービー馬ヴァデニといったフランスが誇る同期生との激闘を制し、クラシック候補と呼ばれた実力が本物であることを証明した。

距離経験が2000m（10ハロン）までしかなく、凱旋門賞は2400mへの延長が課題となるが、愛チャンピオンS後のR.ムーア騎手は追った分だけ伸びると自信のコメント。また、管理するA.オブライエン調教師も凱旋門賞を視野に入れてロイヤルホイップSから復帰させ、愛チャンピオンSまで強い負荷を加えながら鍛えてきたと打ち明けている。ここまでは名門チームの思惑通りに事が運んでおり、失った春を欧州の最高峰で取り戻しても不思議はない。