ブリーダーズカップクラシック 2023/11/5(日) 07:40発走 サンタアニタパーク競馬場

見どころPREVIEW

米ダート最高峰制覇に期待が懸かるウシュバテソーロ。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

有力馬の直前回避が続出、ウシュバテソーロとデルマソトガケの勝機拡大

ウシュバテソーロとデルマソトガケが参戦し、日本調教馬として初の米ダート最高峰制覇に期待が懸かるBCクラシックだが、1週前まで上位人気が濃厚と見られていたアルカンジェロやケンタッキーダービー馬メイジなど、決戦を直前に控えて有力馬の回避が続出。早くも波乱の様相を呈している。

本場の一流馬たちが脱落してしまったのは残念だが、ウシュバテソーロとデルマソトガケにとって想定より手薄になった相手関係は追い風。その一方で展開は読みづらくなった。

差し・追い込み型のウシュバテソーロはアルカンジェロが道標になるはずだったが、それが無くなってしまった。遠征前の日本テレビ盃は前々で受ける横綱相撲で圧勝しており、同じ形を取れるなら理想的ではあるものの、地方交流重賞とアメリカのダートG1ではペースが違う。川田将雅騎手がどのような位置からレースをするかがカギとなる。

一方、先行したいデルマソトガケはKYダービーで失敗したゲートを決められるか。枠順(5番)は上々で、決めれば圧勝したUAEダービーのような逃げを打てる可能性もある。KYダービーで崩れずに走り抜いた気持ちの強さはあるだけに、最も力を出せる先行策で真価を発揮してほしい。

先行したいデルマソトガケにとって気になる存在はホワイトアバリオとアレイビアンナイト。ホワイトアバリオは前走のホイットニーSで軽快な逃げから圧勝している。内の3番枠でもあり、簡単に先手を許すと厄介だ。ただ、最も逃げにこだわるのはアレイビアンナイトかもしれない。4戦しかキャリアがなく、3勝は全て逃げ。唯一の黒星は先行争いに巻き込まれた結果で、外の12番枠からになった今回は単騎に持ち込むべく主張することも。



前走のホイットニーSを圧勝したホワイトアバリオ。(Photo by Courtesy of Churchill Downs)

混戦で各馬が勝機ありと前のめりになるケースもめずらしくない。そうなればウシュバテソーロに願ったりかなったりだが、ゼンダンにとっても同じだろう。通算13戦3勝と勝ち切れない面がある一方で、3着から漏れたのも1回しかなく差し脚は堅実。その1回も不良馬場での4着だ。前走は1年半ぶりに白星を挙げてムードが良く、昨年末から春までサンタアニタパーク競馬場で騎乗していたL.デットーリ騎手の起用が新味を出せば面白い。

この他でG1実績があるのは、前走のペンシルベニアダービーで1着のサウジクラウンと1/2馬身差2着のドリームライクだが、前々走のジムダンディSでKYダービー馬メイジにハナ差の2着もあるサウジクラウンが、未勝利勝ちから直前の条件戦で5着でしかないドリームライクよりも着順通りに信頼性は高い。サウジクラウン陣営は早い段階からBCクラシックを意識しており、直近2戦の不良馬場から良馬場に変わってパフォーマンスを上げるようなら怖い。

ブライトフューチャーとプロクシーも前走のG1ジョッキークラブゴールドCで連対。ただ、1着のブライトフューチャーは重賞初制覇で、他に重賞出走歴が1戦しかなく今回は試金石。当時のJ.カステリャーノ騎手はアルカンジェロ(回避)、その前5戦で鞍上を務めたI.オルティスJr.騎手もホワイトアバリオを選択している。プロクシーはハナ差及ばずの2着も、春には今回と同舞台のG1サンタアニタHで2着。昨年はクラークSでG1勝ちの実績がある。

ミストザカットやクラプトン、セニョールバスカドールは実績や対戦成績から一枚落ちの印象だが、有力馬の回避でもつれる展開になれば活路があるかもしれない。

(渡部浩明)