ブリーダーズカップターフ 2023/11/5(日) 06:50発走 サンタアニタパーク競馬場

見どころPREVIEW

日本調教馬としてBCターフ初制覇を狙うシャフリヤール。(Photo by Getty Images)

強力欧州勢に挑むシャフリヤール、特殊なコースでアメリカ勢も侮れず

歴史的に欧州からの遠征馬が強く、近年はその傾向に拍車が掛かるBCターフだが、今年は10ハロン路線で最強のモスターダフ、英ダービーでワンツーのオーギュストロダンとキングオブスティール、凱旋門賞で3着のオネストなど例年以上に強力な印象。日本から初制覇を狙うシャフリヤールを含めた5頭が拮抗した関係と見る。

主催者想定の1番人気に推されているモスターダフは10ハロンがベスト。本来なら10月21日の英チャンピオンSが目標だったが、道悪を嫌ってBCターフへのスライド参戦を決めた。12ハロンでは5戦してG3の1勝のみという戦績だが、距離に道悪ほどの不安はないということだろう。3月のドバイシーマクラシックではイクイノックスを負かしにいくレースをした上でシャフリヤールに1馬身先着しており、同じように平坦でスピード優先のトラックなら、相応のパフォーマンスを期待できるはずだ。

シャフリヤールにとっては、このモスターダフを逆転することが当面の目標となる。ドバイでは先着されたが、こちらはゲートで後手を踏み不本意なレースを強いられたもの。通算5戦の12ハロンで複勝圏からはずれたのもその1戦しかない。サンタアニタパーク競馬場の芝コースは全米屈指の高速トラックで、スピード勝負は望むところ。前走後に受けた喉頭蓋エントラップメントの手術も効果が出ているようで、実力を発揮できれば十分にチャンスはある。

オーギュストロダンはシャフリヤールと同じディープインパクト産駒で、日英のダービー馬対決、そしてワンツー決着という大きな夢の一方を担っている。道悪の英2000ギニーや発表以上に馬場が重くなったキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでは思わぬ大敗を喫したが、前走では10ハロンのアイリッシュチャンピオンSを快勝。そうした面もスピードが身上のディープインパクト産駒らしい。

また、オーギュストロダンが空輸で結果を出せていないことを考慮し、A.オブライエン調教師は例年の当週火曜日から3日早めて土曜日(10月28日)にアイルランドを出発。現地入り後は順調に調整が進んでいるという。ともに参戦のボリショイバレエは前走を含めてアメリカの芝G1を2勝、ブルームも2年前のBCターフで2着の実績があり、3頭出しで隙のない態勢を整えてきた。



今年の英愛ダービー馬オーギュストロダン。(Photo by Getty Images)

英ダービーでオーギュストロダンに屈したキングオブスティールは、英チャンピオンSから中1週の強行軍を克服できるか。L.デットーリ騎手への鞍上強化でG1初制覇を果たした前走からの流れは良く、状態次第で連勝も十分にあり得る。また、凱旋門賞で低評価に反発する快走を披露したオネストも、昨年はパリ大賞勝ちや愛チャンピオンSでの2着がある実力馬。復調なったなら再び侮れない存在となる。

遠征馬に押されている地元のアメリカ勢だが、今年の強力メンバーに対して白旗を揚げるのは早い。2012年から2022年までの11回で3勝しかしていないものの、いずれもサンタアニタパーク競馬場での開催という共通点がある。必然か偶然かは分からないが、スタートから坂を下り、ダートコースを横切る特殊な条件が影響している可能性はないか。馬だけでなく、騎手の経験値も見過ごせない。

アメリカ勢で上位を狙えるとすれば、芝に転向して底を見せていないアップトゥザマークと昨年のBCターフで3着のウォーライクゴッデス。アップトゥザマークは今回が初の12ハロンだが、これまで最長の10ハロン(G1マンハッタンS)が横綱相撲の危なげない勝ちっぷりで、脚が溜まれば末脚の威力が一段と増すことも。昨年に続き紅一点のウォーライクゴッデスは距離にこだわっての選択。牝馬限定のBCフィリー&メアターフ(10ハロン)より厳しい相手関係を選んだことに根拠がある。

その他のアメリカ勢は実績的にひと息で、小回りコースの紛れに恵まれるなどしない限り上位争いまでは難しいかもしれない。

(渡部浩明)