散発的な参戦が続くも、2021年にラヴズオンリーユーが新たな扉を開く
日本との関係では秋華賞とエリザベス女王杯の間に位置し、なかなか遠征しづらいイメージもあるブリーダーズカップフィリー&メアターフだが、BCクラシックと並び最多の4頭(クラシックは延べ5回)が参戦。初挑戦の時期も2000年のマルターズスパーブと早く、散発的な中にも継続性をもって日本にBCの存在を意識づけてきた。
マルターズスパーブの次は2010年のレッドディザイアまで10年が空き、遠征の前年に秋華賞勝ち、同年にはドバイでオールウェザーのアルマクトゥームチャレンジR3と海外でも実績を築いていた実力馬に大きな期待が集まった。しかし、米国遠征前に鼻出血を発症し、現地入り後も天候不順などで思うように調整できない状況が重なるなど本番では不発。それでも4着とBCに挑戦してきた全ての日本調教馬で初の“掲示板入り”を果たし、歴史を一歩進める成果を残した。
2016年のヌーヴォレコルトは前年に香港Cで2着、2年前にはオークス制覇とレッドディザイアにも劣らぬ実績の持ち主だった。BCフィリー&メアターフでは中団から見せ場なく11着に大敗したものの、アメリカに滞在して次戦のG3レッドカーペットHをトップハンデで制す意地を見せた。
そして、2021年にラヴズオンリーユーが日本調教馬としてBC初制覇の金字塔を打ち立てる。遠征前のオークスとクイーンエリザベス2世C(香港)勝ちという実績は過去3頭と比較して最高。レースでも一枚上の実力を見せつけた。
ラヴズオンリーユーはゲートを決めて好位をキープするも、日本馬の実力を熟知するR.ムーア騎乗のラブがピタリとマーク。勝負所で外から被せられ、前が壁になったラヴズオンリーユーは仕掛けを待たされる格好となる。それでも、デルマー競馬場の250mに満たない直線に突入すると、狭いスペースから鋭い末脚で逆転の差し切り。1/2馬身差で日米の競馬史に新たな1ページを追加した。
この直後には僚友のマルシュロレーヌもBCディスタフ制覇を果たし、2頭の活躍は全米サラブレッド競馬協会(NTRA)の「モーメントオブザイヤー」に選ばれた。