ブリーダーズカップターフ 2024/11/3(日) 06:01発走 デルマー競馬場

見どころPREVIEW

昨年のBCターフで3着の実績があるシャフリヤール。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

レベルスロマンスの強力先行に挑むシャフリヤール、展開を利したいローシャムパーク

2年連続のシャフリヤールに加えてローシャムパークも挑戦するBCターフは、例年通り欧州からの遠征馬が中心の戦いになりそう。2年前にBCターフを制し、今年は3か国でG1勝ちしているレベルスロマンスが、強力な先行力で主導権をにぎる展開となるはずで、追走する各馬の地力が問われる。

2年前のキーンランド開催では追い込みに近い差し切りでBCターフを制したレベルスロマンスだが、不振から立ち直った今シーズンは初戦のアミールトロフィーで逃げる作戦に出て覚醒。続くドバイシーマクラシックでは今回も対戦するシャフリヤールとエミリーアップジョンを寄せつけずに完全復活を印象づけた。唯一の黒星を喫したキングジョージ6世&クイーンエリザベスSでも、先行勢が沈む厳しい展開に耐え抜いて後の凱旋門賞馬ブルーストッキングに1馬身差の3着。余程のことがない限り大崩れは考えにくい。

レベルスロマンスを負かし得る筆頭候補はシャフリヤールと信じたい。ドバイでは直後を追走も最後に2馬身差をつけられたが、当時のレベルスロマンスは復活の兆しを見せていた段階で、英ブックメーカーの人気も20倍台の伏兵評価。シャフリヤールのC.デムーロ騎手としては、後ろのリバティアイランドやオーギュストロダンらの人気馬にも注意しておく必要があっただろう。シャフリヤールにも昨年のBCターフで3着の実績があり、相手を1頭に絞れる今回が決着戦だ。

エミリーアップジョンはドバイの段階でレベルスロマンスとシャフリヤールより高い人気だった。結果は完敗の5着も、当時は8か月ぶりの実戦。プレエントリーで第一希望のフィリー&メアターフではなく、あえてレベルスロマンスとの再戦を選択した点が不気味に映る。陣営は距離適性を理由としているものの、両レースでは200mしか違わない。牡馬が相手になっても、賞金が2.5倍高いターフで勝ち負けの自信があるのだろう。前走のヴェルメイユ賞で小差の上位2頭が凱旋門賞でもワンツーを決めた事実も後押しする。今年は6戦未勝利だが、厩舎の主戦に抜てきされたK.シューマーク騎手が今ひとつ振るわず、昨年まで主戦だったL.デットーリ騎手との再コンビが決定している点も見逃せない。



今年は3か国でG1勝ちしているレベルスロマンス。(Photo by Getty Images)

主催者発表の想定オッズで2番人気の3歳馬ジェイアービーは2歳時以来のG1挑戦だが、直近2戦ではG1ホースたちと好勝負しており、一線級相手にも目途を立てている。ただ、先行力がある一方で距離経験はなく、レベルスロマンスと真っ向勝負の形になった場合、スタミナがもつか未知数の面もある。

2頭出しのA.オブライエン厩舎は主戦のR.ムーア騎手がルクセンブルクを選択。もう1頭のウイングスパンは前走の英チャンピオンズフィリーズ&メアズ Sで2着に逃げ粘ったものの、重賞未勝利の3歳牝馬で実績的に不足している。援護射撃に回る作戦だとしても、一線級相手に完敗続きのルクセンブルクが応えられるか。

この辺りにならローシャムパークも引けは取らないはず。2400mは今回が初めてだが、血統的にはむしろ合っていそうな感がある。ゲートに課題がある現状で最内枠に決まり、後方からのレースを織り込む必要はあるが、大阪杯では2番枠から捲り気味の仕掛けで勝利に肉薄し、オールカマーと函館記念での重賞勝利を含めて小回りコースは好相性。レベルスロマンスをめぐって先行勢に厳しい展開になるようなら台頭のチャンスも。

5年ぶりの勝利を狙うアメリカ勢の総大将ファーブリッジは、2400mに距離延長を図った直近2戦でG1連勝。8月のソードダンサーSは逃げ切り、9月のジョーハーシュターフクラシックは勝負所で鞍上が手綱を引く不利を受け、最後方に下がりながらの差し切りと自在性がある。ただ、どちらも5頭立ての少頭数で今回は2倍以上、大幅強化の相手関係で真価を問われる一戦となる。

これより評価の低いアメリカ勢ではなお苦しそうだが、ゴールドフェニックスは昨年のBCターフで単勝52.6倍の8番人気(現地発売)ながらシャフリヤールに続く4着。西海岸がベースで2200mのデルマーハンデキャップを3連覇と、昨年のサンタアニタパーク競馬場よりさらに地の利があり侮れない。

(渡部浩明)