ブリーダーズカップフィリー&メアターフ 2025/11/2(日) 09:25発走 デルマー競馬場

見どころPREVIEW

今年はG1ファルマスSなど重賞2勝を挙げているシンデレラズドリーム。(Photo by Getty Images)

充実の欧州勢が上位独占か、地元の米国勢はシーフィールズプリティが頼み

BCフィリー&メアターフはアリスヴェリテが第1希望のBCディスタフに出走できることになり、昨年と同じく日本馬不在ながらも馬券発売の対象となった。その昨年は欧州勢が小粒でカナダ調教馬のモイラが優勝をさらったが、今年は欧州勢の層が厚く巻き返し必至の情勢となっている。

欧州勢では昨年2着のシンデレラズドリームの信頼性が高そう。アメリカをはじめ遠征経験が豊富で、今年はG1ファルマスSをはじめ重賞2勝、最低でもG1ジャンロマネ賞での4着と安定している。今年は1800m以下が中心で2200mはちょうど1年ぶりになるが、BCフィリー&メアターフを目標に逆算して予定を組んできたほどで、雪辱へ盤石の態勢を整えてきた。

ただ、仏オークス馬のゲゾラ、牡馬に引けを取らないシーザファイアは強力。ゲゾラはヴェルメイユ賞でも2着を確保と牝馬の中距離路線でトップクラスの裏づけがある。前走の凱旋門賞は惨敗も、今秋絶好調のF.グラファール調教師は道悪で展開不向きと割り切っている。これを最後に米国へ移籍する予定となっており、適性を織り込んでの遠征ならパフォーマンスをさらに上げても不思議はない。

また、シーザファイアはG1勝ちこそないものの、前走のオペラ賞では短クビ差の2着と勝利に肉薄。プリンスオブウェールズS(3着)、英インターナショナルS(4着)で牡馬とも互角に渡り合うなど実力は申し分なく、あとは運だけという所まで来ている。その運が小回りのデルマー競馬場でどちらに転ぶか。

A.オブライエン厩舎のベッドタイムストーリーは仏オークスとヴェルメイユ賞でゲゾラ、ナッソーSでシーザファイア、ジャンロマネ賞でシンデレラズドリームに先着されており、越えるべき壁が多い。ただ、昨年のロイヤルアスコット開催でチェシャムSを圧勝した際には怪物誕生と騒がれた器。5ハロンのG1ナンソープSを連覇した母メッカズエンジェルからスピードを受け継いでおり、平坦・高速の舞台は欧州以上に合うかもしれない。

北米勢で大将格のシーフィールズプリティ。(Photo by Getty Images)

これらに対抗する北米勢ではシーフィールズプリティが大将格。昨年のベルモントオークスではシンデレラズドリームの3着に敗れたが、その後は前走までG1レース4勝を含む7戦連続の連対と軌道に乗った。今回はシンデレラズドリームが当面の敵となるが、リベンジを果たせば自ずと結果もついてくる。この1年の成長を試すには最高の舞台だ。

シンデレラズドリームと同じC.アップルビー厩舎のダイアモンドレインは、前走のE.P.テイラーSでシーフィールズプリティをアタマ差まで追い詰めた。それがG1初挑戦で、欧州勢の中にあってアツィラやカテドラルと同様に実績は不足しているが、母が2011年のエリザベス女王杯(16着)で来日経験もある英オークス馬ダンシングレインという良血だけに、素質開花の時を迎えているとしたら今回も不気味な1頭になる。

アメリカ勢ではベレッツァ、ミッションオブジョイ、ステラファイ、ヴィレッジボイスが前走で重賞を勝っているが、いずれもG1で勝ち負けになったほどの実績はない。ヴィレッジボイスの前走は欧州から米国に移籍して1年ぶりの実戦を勝ったもので、その前は英チャンピオンズフィリーズ&メアズSでカルパナの4着ながら着差は大きかった。芝馬の育成に長けたC.ブラウン調教師の手腕でどこまで上積みがあるかというところ。

ビーユアベストとラキカには、それぞれG1勝ちの実績がある。ラキカは移籍前のペルーで芝とダートの二刀流だったが、米国初戦の前走はダートのゼニヤッタSで大きく後れて最下位に沈んでいる。一方、ビーユアベストは先行力を武器としており、5月にはサンタアニタパーク競馬場のゲイムリーSで逃げ切り。2023年にはデルマーオークスとアメリカンオークスでも2着と、カリフォルニアのレースで相性の良さを発揮している。

(渡部浩明)

※アツィラは出走取消となりました。