ブリーダーズカップマイル 2025/11/2(日) 08:05発走 デルマー競馬場

見どころPREVIEW

前走のクイーンSで重賞2勝目を挙げたアルジーヌ。(Photo by Hiroki Yamanaka)

欧州勢の厚みが増して昨年以上の相手関係、アルジーヌは割って入れるか

昨年はテンハッピーローズが果敢に先行して大きな見せ場を作ったBCマイルだが、今年の挑戦者アルジーヌもヴィクトリアマイルで勝利に肉薄するなど力量に大きな差は感じさせない。G1未勝利で胸を借りる立場だけに、まずは日本勢で史上最高の3着以上を目指して頑張ってもらいたい。

今年のBCマイルは昨年2着のヨハネスと3着のノータブルスピーチが引き続き参戦。舞台が同じで枠順もヨハネスが昨年と同じ7番、ノータブルスピーチは2つ内に寄って2番と大きく変わらず、両雄を軸に展開を探るのが定石だろう。

昨年はヨハネスが中団につけ、1列後ろでマークする格好のノータブルスピーチが最終コーナーから併せにいくも、ヨハネスがアタマ差でしのいだ紙一重の関係。ノータブルスピーチが古馬になって斤量のアドバンテージを失う一方、ヨハネスはシティオブホープマイルS勝ちからの臨戦こそ同様も、今年は骨挫傷の影響で2戦しかしていない過程が大きく異なっている。

アルジーヌとしてはこの変化に隙を見つけたい。9番枠はテンハッピーローズと同じだが、ゲートから最初のコーナーまで短いためスタートがカギ。ヴィクトリアマイルでは中団より前の位置を取って粘り込んでおり、直線の長さが東京競馬場の半分もないデルマー競馬場で同じ形を再現できれば面白い。

昨年との比較では、欧州勢が3頭増えている点も見逃せない。ノータブルスピーチ以外ではムーランドロンシャン賞勝ちのサーラン、サセックスSで波乱を呼んだキラート、G1未勝利も入着3回のザライオンインウィンター、仏2000ギニーで2着のジョンキルという今年の欧州マイルG1で活躍した実力馬ばかり。脚質も分散して米国勢より優位に映る。

昨年2着のヨハネス。(Photo by Getty Images)

先行力があるのはキラートとザライオンインウィンターで、サセックスSのキラートはペースメーカーながらも逃げ切って英国G1史に残る番狂わせを演じた。フロック視されるのは仕方ない面もあるが、続くシティオブヨークSでも先行して差のない5着に粘っており、スピード優先の舞台なら侮れない。また、ザライオンインウィンターは結果的にレース選択を誤っていたシーズン序盤からマイル路線に落ち着き、G1を4戦して入着3回と安定した。機動力が生きる小回りで待望のG1制覇も夢ではないだろう。

サーランとジョンキルは差し脚が武器。サーランの瞬発力は今回のメンバーでも一番と思わせるものがある。狭いコースで馬群の捌きがカギとなるが、スムーズに運べば突き抜けるシーンまであるかもしれない。ジョンキルは前走のクールモアターフマイルで大外枠から後方追走となり脚を余した形の4着。キラートと同じジャドモントの所有で、今回は主戦のC.キーン騎手が手綱を取る。サセックスSのキラートは調教師の異なるフィールドオブゴールドのペースメーカーを務めており、あるいは援護に回る可能性も。

地元のアメリカ勢はレトリカルとプログラムトレーディングが前走のクールモアターフマイルでジョンキルに先着。レトリカルは当時が重賞初挑戦でのG1制覇だけに今回は試金石だが、プログラムトレーディングにはデルマー競馬場のハリウッドダービーなどG1を3勝の実績がある。

また、フォーミダブルマンもG1を2勝しているが、特筆すべきはデルマー競馬場の芝で重賞4勝を含む6戦全勝の相性。主戦のU.リスポリ騎手がヨハネスを選択した分は割り引かざるを得ないものの、乗り替わりのJ.ヴェラスケス騎手には2017年に当地のBCマイルを勝った実績がある。

この他、ワンストライプとガスミーアップは前走のウッドバインマイルでノータブルスピーチに完敗。グランオリエンテはチリでG1勝ちしているが、今回は5か月ぶりの休養明けで移籍初戦と未知の面が多すぎる。

(渡部浩明)