ブリーダーズカップクラシック 2025/11/2(日) 07:25発走 デルマー競馬場

見どころPREVIEW

昨年の雪辱を期すフォーエバーヤング。(Photo by Shuhei Okada)

昨年の上位3頭による再戦ムード、フォーエバーヤングは立ち回り次第

今年のブリーダーズカップクラッシックは前売り1番人気だったソヴリンティが本番3日前に取り消し、ゲートが開く前から波乱の様相を呈している。レース史上最高とも称されていたメンバーから最大のピースが欠けてしまったのは残念だが、3着に敗れた昨年の雪辱を期す日本のフォーエバーヤングは勝機が拡大した。

昨年のフォーエバーヤングは先行するフィアースネス(2着)をかわせず、後方からシエラレオーネ(1着)に捲られての3着。一度も先頭に立てなかった内容としては完敗で、逆転には昨年と異なるレースをする必要がありそう。昨年は最内枠もあってフィアースネスを追い掛ける形になったが、いわゆる鈴付け役は他の馬に任せたいところ。ケンタッキーダービーでは出遅れて後方からになったものの、結果的にシエラレオーネと互角の叩き合いを演じており、当時のような差す形に戻すなど何らかの工夫が求められる。

フォーエバーヤングにとっては2連敗中のシエラレオーネが当面の相手。KYダービーからBCクラシックの半年で水を開けられただけに、さらに1年で関係がどう変わっているかは興味深い。今年のシエラレオーネは連敗スタートとなったが、8月のホイットニーSではフィアースネスらを一蹴している。BCクラシックともども相手関係が強くなり、ペースが厳しくなるほど末脚の威力を増すキャラクターで、史上2頭目の連覇を達成する可能性も十分にあるだろう。前走の2着はスタート直後の不利が大きく度外視できる。

昨年のフィアースネスは半マイル45秒を切るハイペースで飛ばすデルマソトガケから離れず2番手を追走し、勝ちに動いて2着に残す負けて強しの内容だった。今までは揉まれ弱い面があったが、前走のパシフィッククラシックでは逃げ馬の背後から切り替えて先行馬の間を割る収穫の大きな完勝劇。その2戦ともデルマー競馬場の10ハロンで適性の高さを感じさせ、外国馬がフォーエバーヤングのみという相手関係は、シティオブトロイを含めて4頭いた昨年より読みやすい。状況は昨年より好転している。

史上2頭目の連覇を目指すシエラレオーネ。(Photo by Shuhei Okada)

マインドフレームはフィアースネスと同じT.プレッチャー調教師の管理馬で、どちらもリポールステーブルが共同オーナーという関係。今年6月のスティーブンフォスターSが2度目のG1勝ちで実績は多少不足しているが、その一戦と昨年のベルモントSでシエラレオーネに先着の戦績は見逃せない。8月のホイットニーSをフィアースネスとの使い分けで回避したように、両雄で連携の作戦を取るようならかなり強力。発馬直後の落馬で競走中止した前走の影響は気懸かりも、勝ち負けに絡む可能性は相応にある。

3歳世代はKYダービーとベルモントSで1着ソヴリンティ、2着ジャーナリズム、3着バエザと同じ結果。ジャーナリズムはプリークネスSなどG1を3勝しているが、いずれもソヴリンティが不在、バエザが前走で勝ったペンシルベニアダービーはジャーナリズムが不在と明確な力関係にある。それに加え、ジャーナリズムは前走のパシフィッククラシックでフィアースネスに完敗と、古馬勢に対して不利は否めない。堅実性はあるため、自分の形に徹して上位進出を狙いたいところ。

アンティクエリアンは前走のジョッキークラブゴールドCでG1初制覇を飾ったが、スタート直後にシエラレオーネやマインドフレームが不利を受けるなど紛れが多く参考にならない。ネバダビーチも前走のグッドウッドステークスでG1初制覇を飾っているが、それが重賞初挑戦。両馬は実績的にも今回が試金石となる。

重賞未勝利のコントラリーシンキングはシエラレオーネのペースメーカーと見られており、フィアースネスとマインドフレームの連携も考えられる展開に楔を打ち込めるか。両陣営の駆け引きとなったとき、フォーエバーヤングと坂井瑠星騎手は臨機応変に立ち回れるかにかかっている。

(渡部浩明)