主役は4連覇を狙うロードノースも、層の厚い日本勢が大偉業を阻止へ
今年のドバイターフはロードノースの4連覇なるかが最大の注目ポイントだが、相手関係だけでなく自身の年齢との戦いにもなる。G1昇格後に8歳馬の優勝例はなく、大半を4歳馬と5歳馬が占めてきた歴史からもハードルは高い。これに対して日本勢は4頭とも5歳馬で鮮度や実績からも十分に期待できる。
ロードノースを象徴的な例として、ドバイターフにはいわゆるリピーターの活躍傾向がある。同馬は昨年までの3連覇だけでなく、ウィンターダービーからの臨戦も今年で3年連続。昨年限りで引退しているはずだったL.デットーリ騎手とのコンビ継続も叶い、この一戦に向けて人事を尽くしてきた感はある。
同じ視点に立てば昨年2着のダノンベルーガにも勝機がある。日本調教馬は2016年から昨年までの7回でリアルスティール、ヴィブロス、ヴァンドギャルドが2回以上の入着を重ねてきた。2回目以降に着順を上げた例がないのは気掛かりだが、昨年のダノンベルーガは全体的にリズムに乗れていなかった。本来の走りを見せられれば前年以上もあるはずだ。
最も期待が大きいのはドウデュースだろう。昨年のドバイターフは現地入り後、直前の獣医検査をクリアできず、戦うことなく無念の帰国となったが、前走の有馬記念を快勝して鮮やかに復活。改めて手の合うところを証明した武豊騎手が、今回の1800mやメイダン競馬場に対して不安は特にないと自信を隠していない点も心強い。
1800mならナミュールも簡単には引き下がれない。昨年終盤にマイルでついにブレーク。3歳時はオークスや秋華賞でも上位争いを演じたように距離の融通性も高い。3着の結果を残した香港マイルに続き海外遠征は2回目で、休み明けのフレッシュな状態で戦えるのも良く、死角そのものはドウデュースよりも少なく感じられるほどだ。
日本勢の中で実績的には格下のマテンロウスカイだが、前記の4頭はいずれも差し・追い込みタイプ。各馬の意識が後方に偏れば、この馬の先行力が生きることもある。鞍上が横山典弘騎手とくれば何を仕掛けてくるか楽しみは大きく、ペースを読みにくい国際舞台でマジック炸裂のシーンがあっても驚けない。
今年は香港からもヴォイッジバブルとストレートアロンの2頭が参戦する。とくにヴォイッジバブルは侮れない。昨年の香港マイルはゴールデンシックスティの2着でナミュールに先着、前走の香港ゴールドCではロマンチックウォリアーにクビ差の2着と迫り、3着を3馬身余り離した。日本勢を苦しめてきた強豪たちに続く現役3番手相当の実力があり、ゲートセンスが良く立ち回りも自在。勝利をさらっても不思議はない。
ロードノース以外の欧州勢では、アイリッシュチャンピオンSで2着のルクセンブルク、これに短アタマ差のナシュワが互角の関係か。ルクセンブルクには香港Cで日本勢を抑えての2着という実績もある。前走のネオムターフCは伸び切れず4着も、叩き良化型で今回はひと味違うはず。また、ナシュワは良馬場の瞬発力志向で欧州よりもドバイの芝が合う。ロードノースと同じJ&T.ゴスデン調教師の管理馬で、もちろん勝算はあっての遠征だ。
ゴドルフィンの期待馬メジャードタイムは前哨戦のジェベルハッタを含む直近2勝がドバイターフと同舞台。今回は試金石ではあるものの、通算6戦5勝で底を見せておらず、周到な臨戦過程からも怖さがある。また、ファクトゥールシュヴァルも欧州のG1戦線で4戦連続の入着中と安定している。ただ、いずれも渋めの馬場でドバイのスピード勝負に対応できるかが課題となる。
(渡部浩明)