COLUMN

コラム

ニュース/コラム

【世界の騎手紹介 Vol.2】ウィリアム・ビュイック

2018年03月28日 12:00

  • 友だち追加数

ドバイのモハメド殿下が率いる馬主組織・ゴドルフィンのイギリスとUAEにおける主戦騎手のひとり。ゴドルフィンの専属調教師であるチャーリー・アップルビー厩舎の所属馬に主に騎乗する。

ウィリアム・ビュイック騎手は1988年7月22日にノルウェーで生まれた。父ウォルターはスカンジナビアで8度もチャンピオンジョッキーに輝いた名手で、母も馬術の選手だった。

イギリスのアンドルー・ボールディング厩舎で見習い騎手となり、2006年にイギリスで初勝利。ボールディング厩舎のブチェラッティでイギリスのG3セントサイモンSを制して重賞初制覇を果たした2008年にはイギリスの見習い騎手チャンピオンに輝いた(デイヴィッド・プロバート騎手とタイ)。

2019年は一時期戦列を離れたが、秋には見事に復活を果たした。(Photo by Press Association)

2009年にはカナダのG1・E.P.テイラーSをラハリーブで制してG1初制覇。すると翌年1月にはイギリスの名門ジョン・ゴスデン厩舎(2017年は凱旋門賞馬エネイブルや英チャンピオンS優勝のクラックスマンを管理)の主戦騎手に抜擢され、同年3月のG1ドバイシーマクラシックをダーレミで制したのを皮切りに、G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSとG1エクリプスSをナサニエル、G1愛チャンピオンSとG1プリンスオブウェールズSをザフューグ、G1愛オークスをグレートヘヴンズ、G1英セントレジャーをアークティックコスモスとマスクトマーヴェル、アメリカのG1アーリントンミリオンをドビュッシーで制すなど目覚ましい活躍を見せた。

その後、2014年11月からはシルヴェスター・デソウサ騎手に替わって、ジェームズ・ドイル騎手とともにゴドルフィンの主戦騎手の座に就任。翌年3月にはモハメド殿下の子息であるハムダン殿下プリンスビショップでG1ドバイワールドCを制した。また、ゴドルフィンの所有馬でも2017年と2018年のG1ドバイシーマクラシックをジャックホブスホークビルで連覇。さらにマサーで2018年のG1英ダービーを制している。その手腕はアジアでも高く評価されており、2018年にはステルヴィオで日本のG1マイルチャンピオンシップ、パキスタンスターで香港のG1クイーンエリザベス2世Cに優勝。ともにテン乗りでのG1制覇だった。

2019年は落馬負傷のため5月から約3カ月間戦列を離れていたが、秋にはピナトゥボG1デューハーストSG1ヴィンセントオブライエンナショナルSに優勝。2020年はガイヤースとのコンビでG1インターナショナルS、G1エクリプスS、G1コロネーションCとG1に3勝を挙げて、同馬を欧州年度代表馬へと導いた。

近年のG1勝ち
2020年
英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(イギリス):ワンダフルトゥナイト
インターナショナルS(イギリス):ガイヤース
モーリスドゲスト賞(フランス):スペースブルース
ダルマイヤー大賞(ドイツ):バーニーロイ
ジャンプラ賞(フランス):ピナトゥボ
エクリプスS(イギリス):ガイヤース
コロネーションC(イギリス):ガイヤース
ジェベルハッタ(UAE):バーニーロイ

2019年
デューハーストS(イギリス):ピナトゥボ
ヴィンセントオブライエンナショナルS(アイルランド):ピナトゥボ
バーデン大賞(ドイツ):ガイヤース
ドバイシーマクラシック(UAE):オールドペルシアン
アルクオーツスプリント(UAE):ブルーポイント

2018年
マイルチャンピオンシップ(日本):ステルヴィオ
BCジュベナイルターフ(アメリカ):ラインオブデューティ
オペラ賞(イギリス):ワイルドイリュージョン
ヴィンセントオブライエンナショナルS(アイルランド):クオルト
英ナッソーS(イギリス):ワイルドイリュージョン
キングズスタンドS(イギリス):ブルーポイント
英ダービー(イギリス):マサー
クイーンエリザベス2世C(香港):パキスタンスター
ドバイシーマクラシック(UAE):ホークビル

2017年
BCフィリー&メアターフ(アメリカ):ウハイダ
クイーンアンS(イギリス):リブチェスター
ロッキンジS(イギリス):リブチェスター
サンタラリ賞(フランス):ソベツ
ドバイシーマクラシック(UAE):ジャックホブス

2016年
マルセルブーサック賞(フランス):ウハイダ
ジャックルマロワ賞(フランス):リブチェスター
エクリプスS(イギリス):ホークビル
ジェベルハッタ(UAE):トリスター

文:秋山 響(TPC)