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【世界の騎手紹介 Vol.1】ジェームズ・ドイル

2018年03月27日 12:00

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ウィリアム・ビュイック騎手とともにイギリスとUAEにおけるゴドルフィン(ドバイのモハメド殿下が率いる馬主組織)の主戦騎手を務める。ゴドルフィンのチームに加わった当初はサイード・ビン・スルール調教師の主戦という形だったが、現在は広くゴドルフィンの馬に騎乗する。

170cmを超える長身が目立つジェームズ・ドイル騎手は1988年4月22日にイギリスで誕生。母は元調教師のジャクリーン。姉のソフィーは現在アメリカで騎手をしており、2019年9月にはG1コティリオンSをストリードバンドで優勝した。ドイル騎手は2005年6月にイギリスで初勝利。翌年には年間73勝の好成績を残したが、見習い騎手のタイトルはわずかの差で逃した。その後は勝ち星が減って低迷。一時期は騎手を辞めて、配管工になろうかと思ったこともあったという。

大きく視界が開けたのは2012年3月のこと。G1ドバイデューティフリー(現ドバイターフ)を、目をかけてくれていたロジャー・チャールトン調教師が管理するシティスケープで制して、世界にその名を大きく轟かせたのだ。実はこのレースは本来であれば主戦であるスティーヴ・ドローン騎手が騎乗するはずだったが、体調不良でお鉢が回ってきた形。G1初騎乗での初制覇だった。

近年は大レースでの活躍が目立つドイル騎手。(Photo by Press Association)

その後、2013年の前半にはチャールトン厩舎のアルカジームでG1プリンスオブウェールズS、G1エクリプスSなどに優勝。すると同年の夏にはサウジアラビアのハーリド・アブドゥラ殿下が率いるジャドモントファーム(シティスケープの馬主だった)の主戦騎手に抜擢され、翌年には欧州年度代表馬に選ばれたキングマンとのコンビでG1愛2000ギニー、G1セントジェームズパレスS、G1サセックスS、G1ジャックルマロワ賞を制したほか、ノーブルミッションでもG1英チャンピオンS、G1サンクルー大賞などに優勝した。

現在の立場であるゴドルフィンの主戦騎手の座に就いたのは2015年1月。以降、ナイトオブサンダーで勝ったG1ロッキンジS、アフリカンストーリーのG1マクトゥームチャレンジラウンド3、バーニーロイのG1セントジェームズパレスS、リブチェスターのG1ムーランドロンシャン賞などに優勝。ゴドルフィンの所有馬ではないが、2018年はシーオブクラスでG1愛オークスとG1ヨークシャーオークス、ポエッツワードでG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSとG1プリンスオブウェールズSを制するなど大レースでの活躍が目立った。16年末から17年初めにかけては、馬券を購入したことで18カ月の騎乗停止処分を受けたジェームズ・マクドナルド騎手の代わりとしてオーストラリアにおけるゴドルフィンの主戦を務めたこともある。

近年のG1勝ち
2020年
クリテリウムドサンクルー(フランス):ギアアップ
バーデン大賞(ドイツ):バーニーロイ
プリンスオブウェールズS(イギリス):ロードノース

2019年
ノーザンダンサーターフS(カナダ):オールドペルシアン
スプリントC(イギリス):ハローユームザイン
ダイヤモンドジュビリーS(イギリス):ブルーポイント
キングズスタンドS(イギリス):ブルーポイント

2018年
サールパートクラークS(オーストラリア):ジャングルキャット
ヨークシャーオークス(イギリス):シーオブクラス
キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(イギリス):ポエッツワード
愛オークス(アイルランド):シーオブクラス
プリンスオブウェールズS(イギリス):ポエッツワード
アルクオーツスプリント(UAE):ジャングルキャット
ジェベルハッタ(UAE):ブレアハウス

2017年
マルセルブーサック賞(フランス):ワイルドイリュージョン
ムーランドロンシャン賞(フランス):リブチェスター
ゴールドカップ(イギリス):ビッグオレンジ
セントジェームズパレスS(イギリス):バーニーロイ

文:秋山 響(TPC)