【海外競馬 ニュースまとめ】2018年12月
2018年12月20日 17:00
●香港国際競走~日本勢は勝利ならず
12月9日に香港のシャティン競馬場で香港国際競走が行われた。日本からは9頭が出走したが、G1香港ヴァーズ(芝2400m)でリスグラシュー、G1香港マイル(芝1600m)でヴィブロス、そしてG1香港カップ(芝2000m)でディアドラがそれぞれ2着に入ったのが最高着順。残念ながら勝利を手にすることは出来なかった。
一方で、活躍が目立ったのが香港調教馬。G1香港ヴァーズをエグザルタント、G1香港スプリントをミスタースタニング、G1香港マイルをビューティージェネレーション、そしてG1香港カップをグロリアスフォーエバーが優勝。香港調教馬による全レース制覇は、1999年に香港スプリントが創設されて香港国際競走が現行の4レース体制になって以降、初めてのこととなった。
その中でも香港勢の強さをまざまざと見せつけられたのは香港スプリント。1~6着までを独占した。このレースでは2015年と16年は4着、17年も5着までを香港勢が占めており、4年連続で馬券圏内(香港では四連単の発売もあり)を独占。香港勢の無双状態が続いている。
香港ヴァーズ制覇も特筆すべき点だ。これまで香港馬といえば、スプリンターやマイラーの強さで知られていたが、今回のエグザルタントの勝利(イーグルウェイもそれほど差のない4着)は中長距離でも香港馬がトップレベルになりつつあることを示すものだろう。以前は香港カップも香港勢がなかなか勝てずにいたが、2011年にカリフォルニアメモリーが勝つと、堰を切ったように勝ち始めた(1999年のG1昇格後、2010年まではわずかに2勝だったが、2011年以降はすでに6勝)。香港ヴァーズも今回の勝利がトリガーになるかもしれない。
●オーストラリアに4歳馬限定の高額賞金レースが誕生
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の競馬を統括するレーシング・ニューサウスウェールズ(RNSW)と同州の主要主催者団体であるレーシングオーストラリアは12月5日、総賞金750万豪ドル(約6億1000万円、ただし賞金の10%はチャリティーに寄付される)を誇る4歳限定戦「ザ・ゴールデンイーグル」(芝1500m)の創設を発表した。第1回のレースは2019年11月2日のローズヒルガーデンズ競馬場で行われる。
「ザ・ゴールデンイーグル」を創設した大きな狙いは、トップホースの3歳いっぱいでの早期引退や香港への流出を食い止め、その結果として国内レースのレベルを高めて、馬券売り上げのアップを図ろうというもの。今回の発表では、一流馬の出走を促すための更なる策として、2歳限定のG1ゴールデンスリッパーS(芝1200m、ローズヒルガーデンズ競馬場)、3歳限定のG1ゴールデンローズS(芝1400m、ローズヒルガーデンズ競馬場)を制した馬が、ザ・ゴールデンイーグルも制した場合(これをゴールデンスラムと命名)には500万豪ドル(約4億1000万円)のボーナス賞金を与えることも併せて発表されている。
ただ、物議をかもしているのは2019年11月2日がヴィクトリア州のビッグレースであるG1ヴィクトリアダービーの開催日だということ。加えて、2019年はニューサウスウェールズ州で行われる芝の世界最高賞金レースであるジ・エベレストが、ヴィクトリア州の看板レースのひとつであるG1コーフィールドCと同じ10月19日に開催される可能性も取りざたされており、ヴィクトリア州の関係者からは、長い時間をかけて組み上げられたレース体系の重要性やレーススケジュールのリズムを理解していないが故の行為としてニューサウスウェールズ州側を非難する声も挙がっている。
文:秋山 響(TPC)