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【世界の調教師紹介 Vol.28】ウェイン・ルーカス

2020年02月05日 15:00

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1999年にアメリカ競馬の殿堂入りを果たしたウェイン・ルーカス調教師は1935年9月2日、アメリカ・ウィスコンシン州生まれ。牧場で育ち、少年時代から草競馬に出場したり、馬を馴致してセールで売却したりしていたという。

その後、教師となり、高校でバスケットボールのコーチを務めたが、その傍らではクォーターホースの調教師として、1960年代半ばにサウスダコタ州で厩舎を開業。やがて教師を辞めて調教師に専念すると、ニューメキシコ州を経て71年にカリフォルニア州に拠点を移動。クォーターホース史上最強馬との呼び声も高いダッシュフォーキャッシュなど20頭を超すチャンピオンホースを手がけた(ルーカス調教師はクォーターホースの世界でも殿堂入りしている)。

ブリーダーズカップ計20勝は歴代最多となるルーカス調教師(中央左)。(Photo by Getty Images)

やがて息子ジェフ(一時期は父の右腕を務めたが、1993年にタバスコキャットと衝突する事故に遭って競馬界から離れた。2016年逝去)の勧めもあって1979年にサラブレッドに完全に転向。1980年にコデックスでG1サンタアニタダービーを制してG1初制覇を果たすと、同馬ではG1プリークネスSも制して米三冠レース初制覇を飾った。

その後、ルーカス調教師は1986年レディーズシークレット(BCディスタフを含む年間G1・8勝)、90年クリミナルタイプ(サンデーサイレンスを下したG1ハリウッドゴールドCを筆頭にG1・4勝)、1999年カリズマティック(G1ケンタッキーダービーとG1プリークネスSの米2冠)と3頭の米年度代表馬を管理し、チャンピオントレーナーにも83~92年まで10年連続、94~97年の4年連続と計14度も君臨した。

米三冠はケンタッキーダービー4勝(1988年ウイニングカラーズ、1995年サンダーガルチ、1996年ラインドストーン、1998年カリズマティック)を含む14勝でこれはボブ・バファート調教師(15勝)に次ぐ2番目の記録。中でも94年のプリークネスS(勝ち馬タバスコキャット)、ベルモントS(タバスコキャット)、95年のケンタッキーダービー(サンダーガルチ)、プリークネスS(ティンバーカントリー)、ベルモントS(サンダーガルチ)、96年のケンタッキーダービー(グラインドストーン)の三冠レース6連勝は圧巻だった。なお、1999年にキャットシーフで制したBCクラシック、1985年ライフズマジック、1986年レディ ーズシークレット、1987年サカウィスタ、2000年スペインで4勝を挙げたG1BCディスタフを含むブリーダーズカップ計20勝は歴代最多記録となっている。

トッド・プレッチャー調教師、キアラン・マクラフリン調教師などはかつてのアシスタント。

近年のG1勝ち
2019年
なし

2018年
なし

2017年
ホープフルS(アメリカ):スポーティングチャンス

2016年
なし

文:秋山 響(TPC)