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  • イェーツ

    Photo by Getty Images

プロフィール

英国王室主催の花形イベントとして世界に知られるロイヤルアスコット開催において、メインレースに位置付けられているのが10ハロンのプリンスオブウェールズSや1マイルのG1レースたちではなく20ハロンの英ゴールドC。その世界最高峰ともいうべき長距離戦に4連覇の金字塔を打ち立てたのがイェーツだ。

イェーツは2歳9月のデビュー戦を4馬身差で勝ち上がり、その1勝だけで英ダービーの前売り1番人気に取り上げられるなど、競走生活の滑り出しはエリートのそれだった。明け3歳も初戦から重賞を2連勝して無敗のまま英ダービーに王手。A.オブライエン調教師はイェーツの穏やかな気性なら本番当日の喧騒も問題ないと自信を見せていた。

しかし、イェーツは大一番を目前に控えて筋肉を痛め、回避の憂き目を見たばかりか丸1年の戦線離脱を余儀なくされてしまう。復帰した4歳は2戦目に英ダービーと同舞台のコロネーションCでG1初制覇。あらためて能力を証明したものの、その後も細かな問題を抱えたまま戦う状態になり、白星を追加できずにシーズンを終えた。

イェーツは5歳も現役を続けて運命の英ゴールドCを迎える。4歳終盤の愛セントレジャーで4着に敗れた際、騎乗したK.ファロンは16ハロン(3200m)までの距離なら問題ないという感触を陣営に伝えていたものの、英ゴールドCの20ハロン(4000m)は未知数。調整の難しさも相変わらずで長期休養からぶっつけ本番となり、人気も単勝8倍の4番手に過ぎなかった。ところが、イェーツは好位キープから直線早々に抜け出し、後続を4馬身突き放す完勝で新境地の開拓に成功。続くグッドウッドCも圧勝して進むべき道が定まった。

この年の秋、イェーツは豪州のメルボルンCに遠征している。実績からハンデが重くなることは明白で、当初のオブライエン師は遠征に否定的だったものの、59kgのトップハンデながら出走に踏み切った。その結果は7着。3kg軽いハンデで8馬身余りの差をつけた勝者は日本のデルタブルースだった。

素質を開花させ、体力も伴ったイェーツは6歳を迎えていよいよ無敵の存在となっていった。その2007年は英ゴールドCを単勝1.6倍の1番人気で連覇すると、愛セントレジャーも三度目の正直で制すなど5戦4勝。単勝2.38倍の1番人気に推された翌2008年の英ゴールドCは5馬身差で圧勝し、200年余りの歴史を誇るレースでサガロ(1975~1977年)以来となる史上2頭目の3連覇を達成する。なお、2020年にストラディバリウスが史上3頭目の3連覇を成し遂げるも、翌年4連覇は逃した。

そして、史上初の4連覇を賭けて2009年の8歳も現役を続行したイェーツだが、さすがに衰えを隠せなくなっていた。初戦はリステッドで勝ち馬に30馬身余りも離されて6着に大敗。8歳馬による英ゴールドC制覇は過去100年以上なかったこともあり、約2か月後の本番を不安視された。それでも、単勝2.5倍の1番人気を得たイェーツはレースで3、4番手をキープし、最終コーナー手前からのロングスパートという渾身の走りで大偉業を達成。結局、これがイェーツにとって最後の勝利となった。

この年限りで引退したイェーツは4戦1勝ながらカルティエ賞最優秀長距離馬を受賞。英ゴールドCと同様、4年連続でのカルティエ賞受賞も初の快挙だった。また、2011年にはアスコット競馬場のパレードリング(日本ではパドックを指す)に銅像が建てられ、女王のエリザベス2世が除幕式に立ち会う栄誉を受けた。引退後のイェーツは障害戦用の種牡馬に転身し、チェルトナム開催のG1レース勝ち馬を輩出するなど平地最強のスタミナを後世に伝えている。

基本情報

生年 2001
性別
毛色 鹿毛
Sadler's Wells
Lyndonville
母父 Top Ville
調教師 A.オブライエン
生産者 Barronstown Stud & Orpendale
馬主 Mme J. Magnier/Mme D. Nagle
通算成績 26戦15勝[15-2-2-7]

競走成績

開催日 場所 レース名 動画 着順 騎手 トラック 距離 馬場状態
2009/10/04 ロンシャン カドラン賞(G1) 3 J.ムルタ 4000
2009/09/12 カラ 愛セントレジャー(G1) 8 S.ヘファナン 2800
2009/06/18 アスコット 英ゴールドカップ(G1) 1 J.ムルタ 4000
2009/04/26 ナヴァン ヴィンテージクロップステークス(L) 6 S.ヘファナン 2600
2008/10/26 ロンシャン ロワイヤルオーク賞(G1) 1 J.ムルタ 3100 稍重
2008/10/04 ロンシャン カドラン賞(G1) 5 J.ムルタ 4000
2008/07/31 グッドウッド グッドウッドカップ(G2) 1 J.ムルタ 3200
2008/06/19 アスコット 英ゴールドカップ(G1) 1 J.ムルタ 4000
2008/04/27 ナヴァン ヴィンテージクロップステークス(L) 1 S.ヘファナン 2600 稍重
2007/10/07 ロンシャン カドラン賞(G1) 3 K.ファロン 4000 稍重
2007/09/15 カラ 愛セントレジャー(G1) 1 K.ファロン 2800
2007/06/21 アスコット 英ゴールドカップ(G1) 1 M.キネーン 4000
2007/05/30 レパーズタウン サヴァルベグステークス(L) 1 S.ヘファナン 2800
2007/04/29 ナヴァン ヴィンテージクロップステークス(L) 1 S.ヘファナン 2600
2006/11/07 フレミントン メルボルンカップ(G1) 7 K.ファロン 3200
2006/09/16 カラ 愛セントレジャー(G1) 2 K.ファロン 2800 稍重
2006/08/03 グッドウッド グッドウッドカップ(G2) 1 M.キネーン 3200
2006/06/22 アスコット 英ゴールドカップ(G1) 1 K.ファロン 4000
2005/10/23 ウッドバイン カナディアンインターナショナル(G1) 6 K.ファロン 2400 稍重
2005/09/17 カラ 愛セントレジャー(G1) 4 K.ファロン 2800
2005/06/26 サンクルー サンクルー大賞(G1) 9 J.フォーチュン 2400 稍重
2005/06/03 エプソム コロネーションカップ(G1) 1 K.ファロン 2410
2005/05/02 カラ ムーアズブリッジステークス(G3) 2 K.ファロン 2000
2004/05/09 レパーズタウン 愛ダービートライアルステークス(G3) 1 J.スペンサー 2000 稍重
2004/04/18 レパーズタウン バリーサックスステークス(G3) 1 J.スペンサー 2000
2003/09/21 カラ 未勝利戦 1 M.キネーン 1600

距離別

距離 1着 2着 3着 4着以下 出走回数 勝率 連対 3着内率
~1400m 0 0 0 0 0 0% 0% 0%
1401m~1800m 1 0 0 0 1 100% 100% 100%
1801m~2100m 2 1 0 0 3 67% 100% 100%
2101m~ 12 1 2 7 22 55% 59% 68%

馬場状態別

馬場状態 1着 2着 3着 4着以下 出走回数 勝率 連対 3着内率
良馬場 11 0 1 4 16 69% 69% 75%
稍重馬場 3 1 1 2 7 43% 57% 71%
重馬場 1 1 0 1 3 33% 67% 67%
不良馬場 0 0 0 0 0 0% 0% 0%
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