日本は2007年11月に国際セリ名簿基準委員会が定めるパート1国入りし、世界の“競馬先進国”として認知されていく。日本調教馬のレベルアップが一助となったことは自明だが、その直前、2006年のアピールは強力だった。

日本と勝手の違うダートに苦戦していた日本調教馬だが、2006年にユートピアがゴドルフィンマイルで海外ダート重賞を初めて制す。同じ夜にはハーツクライがUAEにおけるG1初勝利を記録し、英国のキングジョージ6世＆クイーンエリザベスSでも死闘を演じて3着と存在感を示した。

そして、国際的評価を高めたライバルに続き、ディープインパクトが凱旋門賞に挑んだ。日本から多くのファンが詰めかけ、注目度は現地でも最大級。しかし、最高潮に達した期待に反し、挑戦は完敗の形で3位入線後に失格という思わぬ結果に終わる。その敗北は日本に大きなショックを与えたが、約1か月後にフランスの反対側、南半球で日本調教馬が屈指の偉業を成し遂げる。

豪州では国民的祭典として親しまれ、その名を世界にとどろかせるメルボルンCにデルタブルースとポップロックが参戦。直線で一騎打ちを展開するとワンツーフィニッシュを決め、激闘を制したデルタブルースは日本初の豪州重賞勝ち馬となった。その翌年にはカジノドライヴが本場の米国でダート重賞制覇、シャドウゲイトはシンガポールでG1勝ちと、それぞれ初の快挙で続き、日本調教馬は世界の各地で存在感を高めていった。