トゥザヴィクトリーの快走以降、再びドバイWCでの完敗が続いた日本調教馬だが、2010年のメイダン競馬場開設で芝の実績馬に攻略の糸口が生まれた。ダートではなくオールウェザー（AW）コースが採用され、この年にさっそくレッドディザイアが前哨戦を快勝。翌2011年には、ヴィクトワールピサが日本人の魂を揺さぶる激走を披露する。

15日前に発生した東日本大震災により沈痛なムードが漂う中で決戦の夜を迎えたヴィクトワールピサは、序盤に遅れるも中盤から攻めに転じて先頭へ。ともに参戦したトランセンドと馬体を併せて直線いっぱいに粘り抜き、ワンツーフィニッシュでついに日本馬初の世界最高賞金（当時）レース覇者となった。

この偉業から4週後に最初の関門を突破し、史上7頭目の三冠馬へと飛躍したオルフェーヴルは、4歳を迎えると凱旋門賞制覇に狙いを定める。前哨戦のフォワ賞快勝で弾みをつけた三冠馬は、本番でも後方から大外一気に突き抜けて栄冠に手をかけた。しかし、世界をあ然とさせる急失速で差し返され、予想だにしない形で日本の悲願を手放すと、雪辱を期した翌年はそこから連覇していく名牝トレヴに完敗。挑戦は2年連続2着の歯がゆい快挙を残して終わった。

それでも、この年の暮れからロードカナロアが香港スプリントを連覇し、ジャスタウェイは2014年にワールドベストレースホースランキングの年間1位となるなど、日本調教馬は世界の最高峰でも主役を張れるまでに進化した。