ドバイワールドカップ2021/3/28(日) 01:50発走 メイダン競馬場
震災に沈む日本へ値千金の勝利を届けたヴィクトワールピサ
日本調教馬は1996年の第1回からドバイWCに遠征し続け、不参戦は1999年、2003年、2013年の3回のみ。ケイティブレイブが現地で出走を取り消した2019年を含めても、24回のうち4回しかない。ダートの本場アメリカ勢や地元UAE勢の壁は厚く、残念ながら優勝争いにはなかなか絡めていないが、それでも、2001年にトゥザヴィクトリーが2着、2011年にはヴィクトワールピサとトランセンドがワンツーフィニッシュを決めて歴史を動かした。
トゥザヴィクトリーが直線で先頭に立ち、大きな見せ場を作って2着に食い込んだのは、ライブリマウントが参戦した第1回からわずか5年後のことだった。直前のフェブラリーSでダート戦を初体験したに過ぎない牝馬が、ダートの猛者たちをスピードで翻ろうし、一時は直線を独走しようかというリードを奪った事実は、関係者やファンに驚きとともに勇気を与えた。そして、この快走から20年が経過しようとしている現在も、牝馬による唯一の連対例としてレース史に刻まれている。
しかし、その後は時代を代表するダートの猛者たちが遠征しながら、カネヒキリ(2006年)とヴァーミリアン(2007年)の4着が最高と完敗が続き、再び世界にインパクトを与えるまで10年の月日を要すことになる。
ダートでのスピード競馬に苦戦していた日本調教馬にとって、大きな転機となったのは2010年のメイダン競馬場への移転だった。ダートコースがオールウェザーコースに変わり、よりスピードを問われる舞台設定になったことで、パワーを求められる要素が減少。皐月賞と有馬記念で芝のG1レースを2勝していたヴィクトワールピサが2011年に遠征すると、日本競馬史に燦然と輝く金字塔を打ち立てる。
芝の名牝ブエナビスタ、ダート王トランセンドとともに参戦したヴィクトワールピサは、向正面でスローペースの間隙を突き最後方から一気に進出。先頭のトランセンドに並んで主導権を握ると、そのまま並走状態で直線に突入していった。両馬の背後からは愛ダービー馬ケープブランコや翌年にドバイWCを勝つモンテロッソ、北米芝王者のジオポンティらの追撃を受けるも、ヴィクトワールピサとトランセンドは叩き合いを演じながら粘り切り、ヴィクトワールピサが1着、トランセンドは2着でワンツーフィニッシュ。東日本大震災の被害に打ちひしがれる日本へ大きな感動を届けた。
2015年から舞台がダートに戻ると、日本調教馬の成績もホッコータルマエ(2015年)とアウォーディー(2017年)の5着が最高と後退。トゥザヴィクトリーのようなブレークスルーが待たれている。
年 | 馬名 | 性齢 | 着順 | 騎手 | 調教師 |
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2019 | ケイティブレイブ | 牡6 | 取消 | J.モレイラ | 杉山晴紀 |
2018 | アウォーディー | 牡8 | 6 | 武豊 | 松永幹夫 |
2017 | アウォーディー | 牡7 | 5 | 武豊 | 松永幹夫 |
ラニ | 牡4 | 8 | R.ムーア | 松永幹夫 | |
アポロケンタッキー | 牡5 | 9 | C.ルメール | 山内研二 | |
ゴールドドリーム | 牡4 | 14 | J.モレイラ | 平田修 | |
2016 | ホッコータルマエ | 牡7 | 9 | 幸英明 | 西浦勝一 |
2015 | ホッコータルマエ | 牡6 | 5 | 幸英明 | 西浦勝一 |
エピファネイア | 牡5 | 9 | C.スミヨン | 角居勝彦 | |
2014 | ベルシャザール | 牡6 | 11 | C.ルメール | 松田国英 |
ホッコータルマエ | 牡5 | 16 | 幸英明 | 西浦勝一 | |
2012 | エイシンフラッシュ | 牡5 | 6 | C.ルメール | 藤原英昭 |
スマートファルコン | 牡7 | 10 | 武豊 | 小崎憲 | |
トランセンド | 牡6 | 13 | 藤田伸二 | 安田隆行 | |
2011 | ヴィクトワールピサ | 牡4 | 1 | M.デムーロ | 角居勝彦 |
トランセンド | 牡5 | 2 | 藤田伸二 | 安田隆行 | |
ブエナビスタ | 牝5 | 8 | R.ムーア | 松田博資 | |
2010 | レッドディザイア | 牝4 | 11 | C.スミヨン | 松永幹夫 |
2009 | カジノドライヴ | 牡4 | 8 | 安藤勝己 | 藤沢和雄 |
2008 | ヴァーミリアン | 牡6 | 12 | 武豊 | 石坂正 |
2007 | ヴァーミリアン | 牡5 | 4 | C.ルメール | 石坂正 |
2006 | カネヒキリ | 牡4 | 4 | 武豊 | 角居勝彦 |
スターキングマン | 牡7 | 7 | O.ペリエ | 森秀行 | |
2005 | アジュディミツオー | 牡4 | 6 | 内田博幸 | 川島正行 |
2004 | アドマイヤドン | 牡5 | 8 | 安藤勝己 | 松田博資 |
リージェントブラフ | 牡8 | 9 | 吉田豊 | 大久保洋吉 | |
サイレントディール | 牡4 | 12 | 武豊 | 池江泰郎 | |
2002 | アグネスデジタル | 牡5 | 6 | 四位洋文 | 白井寿昭 |
トゥザヴィクトリー | 牝6 | 11 | O.ペリエ | 池江泰郎 | |
2001 | トゥザヴィクトリー | 牝5 | 2 | 武豊 | 池江泰郎 |
レギュラーメンバー | 牡4 | 9 | 松永幹夫 | 山本正司 | |
2000 | ワールドクリーク | 牡5 | 6 | 加藤和宏 | 新井仁 |
1998 | キョウトシチー | 牡7 | 6 | 松永幹夫 | 中尾謙太郎 |
1997 | ホクトベガ | 牝7 | 中止 | 横山典弘 | 中野隆義 |
1996 | ライブリマウント | 牡5 | 6 | 石橋守 | 柴田不二男 |