着実に増す日本調教馬の存在感、待たれる初勝利
ドバイゴールデンシャヒーン(GS)は現在のメイダン競馬場が開場する以前、ナドアルシバ競馬場の「直線ダート1200m」という世界的にも稀な舞台で行われていた。そのような特殊な条件に加え、中央競馬においてはダートの短距離重賞が少ない事情も重なり、ドバイWCデーの他のG1レースと比較して日本調教馬の遠征頭数も多くなかった。
そうした背景もあって日本調教馬は2022年までに延べ17頭が参戦して未勝利だが、過半数の10頭が5着以内に健闘している。ダート開催に限れば、同じく未勝利のドバイWCより2着は1回多く、しかも、全て開催された直近3年で記録されたものと初制覇への期待値も高い。
日本調教馬は2002年にブロードアピールが初参戦した。日本競馬史の豪脚列伝に名を残す女傑はすでに8歳を迎えていたが、世界のスピードに食らいつくと後半から持ち味の末脚を伸ばして5着。まったく未知数の直線競馬で価値ある内容を残した。2年後にはマイネルセレクトがブロードアピールと対照的に逃げて5着に粘り込む。日本のダート馬でもスピードが通用することを示し、勝ち馬との着差(4馬身3/4)でも世界との距離を縮めた。
ナドアルシバ競馬場で最後の開催となった2009年には、バンブーエールが終盤に猛然と追い上げる見せ場を作って4着。3着には惜しくも半馬身届かなかったが、日本馬最高の着順を更新する。2010年にオープンしたメイダン競馬場では、直線ダートから左回りオールウェザー(AW)の1200mに施行条件が大きく変更された。ドバイWCではヴィクトワールピサによる初制覇(2011年)こそあったものの、ドバイGSの方は芝のスプリント王ローレルゲレイロによる4着(2010年)が最高と、連対の壁も破れずに終わる。
そして、レースは2015年に現在と同じ「左回りダート1200m」に再変更された。2018年に遠征したマテラスカイは、本場アメリカの超一流馬たちと互角のスピードで渡り合い、直線半ばまで首位をうかがう大きな見せ場を作って5着に善戦。再挑戦の2019年には2番手のポジションを守り抜き、日本調教馬としてついに初連対を果たす。
2020年になると隣国のサウジアラビアにリヤドダートスプリントが誕生し、1か月後のドバイへ転戦するルートが開けた。この年はコロナ禍でドバイWCデーが開催中止となるも、2021年には転戦組の3頭を含む過去最高の4頭が参戦。フェブラリーSから臨んだレッドルゼルが2着、転戦したコパノキッキングも5着に食い込むと、2022年はレッドルゼルが再び2着で日本調教馬は遠征機会3年連続の連対。サウジから転戦のチェーンオブラブも小差の4着に続き、2頭が4着以内に入る過去最高の結果を残した。
年 | 馬名 | 性齢 | 着順 | 騎手 | 調教師 |
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2022 | レッドルゼル | 牡6 | 2 | 川田将雅 | 安田隆行 |
チェーンオブラブ | 牝5 | 4 | 坂井瑠星 | 小笠倫弘 | |
2021 | レッドルゼル | 牡5 | 2 | R.ムーア | 安田隆行 |
コパノキッキング | セ6 | 5 | W.ビュイック | 村山明 | |
ジャスティン | 牡5 | 11 | 坂井瑠星 | 矢作芳人 | |
マテラスカイ | 牡7 | 12 | 戸崎圭太 | 森秀行 | |
2019 | マテラスカイ | 牡5 | 2 | 武豊 | 森秀行 |
2018 | マテラスカイ | 牡4 | 5 | 武豊 | 森秀行 |
2017 | ディオスコリダー | 牡3 | 11 | S.フォーリー | 高橋義忠 |
2013 | タイセイレジェンド | 牡6 | 12 | R.ムーア | 矢作芳人 |
2010 | ローレルゲレイロ | 牡6 | 4 | 藤田伸二 | 昆貢 |
2009 | バンブーエール | 牡6 | 4 | 武豊 | 安達昭夫 |
2007 | アグネスジェダイ | 牡5 | 10 | 武豊 | 森秀行 |
シーキングザベスト | 牡6 | 11 | 福永祐一 | 森秀行 | |
2006 | アグネスジェダイ | 牡4 | 6 | 吉原寛人 | 森秀行 |
2004 | マイネルセレクト | 牡6 | 5 | 武豊 | 中村均 |
2002 | ブロードアピール | 牝8 | 5 | O.ペリエ | 松田国英 |