3歳最後のレースで待望のG1初制覇を飾ったセリフォス。そのマイルCSの勝ちっぷりは実に鮮やかだった。2歳6月のデビューからマイルの一本道を突き進み、中団付近からの差しで安定した成績を収めてきたが、マイルCSではD.レーン騎手が力みの目立つセリフォスを抑え込み、中間点の800mを14番手で通過。これまでにないほど後方の位置取りで不安の多い道中となった。そして、大外に出た直線入口ではほぼ最後方の絶望的状況。しかし、残り400m付近で仕掛けられると、内の混戦を横目に際立つ瞬発力でごぼう抜きを演じ、1馬身余り突き抜けてしまった。

まさに息を呑むような追い込み。それまでは少しの展開のアヤに泣くこともあり、朝日杯フューチュリティS、NHKマイルCと同世代のG1でも1番人気に応えられなかったが、父ダイワメジャーや自身を含む産駒たちが築いてきたスピード＆パワーのイメージを覆す走りでキャラ変に成功。この勝利が決め手となってJRA賞最優秀短距離馬にも輝いた。

マイルCSでは序盤に力んでいただけに、今回は初の1800mなど課題も少なくないが、新味を引き出してくれたレーン騎手とのコンビ継続は大きい。