G1ホース10頭の超豪華メンバー、今年のWCデーで大注目の一戦
イクイノックスが圧勝した昨年はジャパンCに次ぐ世界2位のハイレベル戦に認定されたドバイシーマクラシックだが、今年は史上最高とも思えるほどの豪華なメンバーが集結した。日本から参戦する4頭を筆頭に、12頭のうち10頭がG1ホースという超重量級。イクイノックスと同様に、優勝馬がそのまま2024年の世界チャンピオンとなる可能性もある。
強力なメンバーの中でも中心を担うのは日本勢と信じたい。昨年のイクイノックスはゴール前で流しながらもレコードを1秒も更新。2着には3馬身半差をつけた。これを物差しすると、より長く追っていたジャパンCで4馬身差のリバティアイランドは、例年のドバイシーマCなら優勝の有資格馬と考えられる。同じ三冠牝馬のジェンティルドンナもドバイシーマCでは2年連続の連対を果たしており、上位争いは必至だろう。
このリバティアイランドに対し、スターズオンアースはジャパンCで1馬身差。当時はリバティが最内枠に恵まれた一方、スターズオンアースは17番枠だった。しかも、当時は半年ぶりの実戦で斤量差(2kg)もあった。それから4か月で今回は斤量差が0.5kgまで縮まる。リバティアイランドを逆転するチャンスは十分に残されている。
イクイノックスとの比較ではジャスティンパレスも優に争覇圏内の1頭。ともに完敗ではあったが、宝塚記念は併せ馬の態勢から1馬身少々、距離不足の天皇賞(秋)も2馬身半差に食い下がった。ただ、有馬記念では先行したスターズオンアースに最後方から1馬身半差の4着。先行有利の傾向があるドバイシーマCでは課題のゲートを決め、ある程度の位置がほしい。
そのゲートに泣いたのが昨年のシャフリヤール。先行から押し切った一昨年とは対照的に後手を踏み、流れに乗れず連覇を逃した。それでも芝2400m前後での安定感は抜群で、秋のBCターフは3着に好走。香港ヴァーズを除外されて急きょ方向転換した有馬記念でも、ジャスティンパレスにはクビ差の5着と崩れなかった。
これらの日本勢に対して最大のライバルとなるオーギュストロダンは、BCターフでシャフリヤールを下したものの、最終コーナーの進路次第では着順が入れ替わっていたかという紙一重の勝利。今回は僚馬ポイントロンズデールの援護を受けながらのレースになると見られるが、2400m級では世界トップレベルかつ現役最強クラスがそろう日本調教馬が相手の今回は真価を問われる場だ。
同じことはエミリーアップジョンにも当てはまる。昨年のコロネーションCではドバイシーマC(2着)から帰国したウエストオーバーを下すなど、牝馬としてリバティアイランドと並び2023年のレーティング最高。その評価通りなら勝ち負けということになる。今回は8か月の休み明けになるが、コロネーションCも7か月半ぶりで結果を出した。
昨年はドバイターフ(6着)に挑戦したジュンコが今年は距離を延ばしてきた。夏のサンクルー大賞で2400mに初挑戦すると軌道に乗り、終盤戦のバイエルン大賞と香港ヴァーズでG1連勝。香港ヴァーズではゼッフィーロらの日本勢を並ぶ間もなく差し切った。ここには地元のフランスでひと叩きしての遠征と態勢も整っている。
ゴドルフィンのレベルスロマンスは2022年にベルリン大賞からBCターフまでG1を3連勝した実力馬。昨年のドバイシーマCで7着と見せ場を作れず、その後も波に乗れない状態が続いたが、前走のアミールトロフィーでゼッフィーロを下すなど復調してきた。かつての差しから先行と脚質に幅が出ており、前走と同様にスムーズに行かせると残り目もある。このレースとドバウィ産駒も好相性だ。
2021年に独ダービー勝ちのシスファハンは、その後に地元のドイツとレベル低下が著しいイタリアでしか入着がなく、第三国では前走のドバイシティオブゴールドが初の3着。前哨戦から参戦の高い士気でどこまで通用するか。なお、凱旋門賞ではシムカミルともどもスルーセブンシーズから3馬身近く離された。スピリットダンサーはネオムターフC勝ちからの転戦。格下感は否めないが、同じ臨戦のモスターダフ(2023年)とオーソリティ(2022年)がドバイシーマCで好走している点には留意しておきたい。
(渡部浩明)