見どころ
年度代表馬に挑む3本の矢、レースの鍵は日本馬が握る
この10年余り、香港マイルで圧倒的な勝率を誇る地元勢だが、今年もビューティージェネレーションが強力。ディフェンディングチャンピオンにして昨季の香港年度代表馬と、無敵の充実ぶりを見せている。レーティング126は出走メンバーの中で突出しており、対戦機会の多い香港調教馬の陣営は士気を保つのに精一杯という現状がある。
しばしば上位独占も実現する地元勢の内部で温度差が激しいなら、外国勢が割って入るチャンス。打倒ビューティージェネレーションの先頭に立つのは日本調教馬の3頭だ。ペルシアンナイトは出走馬の中で2位のレーティング119。マイルCSでは2年連続で優勝争い(1勝、2着1回)を演じ、2000mの皐月賞と大阪杯でも2着があるなどG1実績は申し分ない。マイルG1では厳しい展開になるとスタミナを問われるだけに長めの距離実績があることは強調材料。ビューティージェネレーションの実力は香港史上最強マイラーのエイブルフレンドに肩を並べるとも称されているが、そのエイブルフレンドを香港マイルで破ったモーリスも、後に2000mの天皇賞(秋)と香港カップを連勝とスタミナがあるタイプだった。
安田記念の覇者モズアスコットは、前走のマイルCSでは不利を受けて大敗しており、ここは巻き返しへ力が入る一戦だ。重賞でもオープン特別でも勝ち切れず、安田記念で初G1制覇したときは9番人気。今回もオッズ的にはビューティージェネレーション一強という構図で挑戦者に徹することができるだけに、自分の競馬で思う存分に実力を発揮してほしい。
ヴィブロスは今回が引退レース。マイル戦は2年半以上も経験しておらず、流れに対応できるかは課題になるだろう。ただ、ドバイターフ(芝1800m)制覇など海外遠征の実績や経験値では一日の長があり、ドバイではリブチェスターら欧州の強豪マイラーを一蹴した。また、全姉ヴィルシーナはヴィクトリアマイルを連覇し、牝馬の世界では一時代を築いた名マイラーでもある。ラストランとは言えまだまだ体も若く、あっと言わせたドバイターフの再現を期待したい。
この他の外国勢では豪州のカミンスルーがレーティング118だが、9月から5戦を消化して成績も下降気味。欧州勢は香港マイル未勝利で、ビートザバンク以外の2頭(インズオブコート、ワンマスター)には距離もやや長そうな印象だ。
ビューティージェネレーションに恐れおののく香港勢だが、もともとマイル~短距離の層は厚く、日本馬ら外国勢が王者を負かしにいき、もつれた展開になったときには漁夫の利を得る可能性は捨てきれないだろう。