日本馬挑戦の歴史
ステイゴールドが劇的ラストラン、日本馬は2勝も参戦した過半数が上位争い
日本調教馬は香港ヴァーズ創設元年の1994年から参戦し、2018年まで2勝止まり。苦戦状態の香港スプリントと勝ち星の数は同じだ。しかし、出走馬の過半数が4着以上に善戦しており、全体的な成績としては香港国際競走4レースの中で最も活躍してきた面がある。
2000年にG1昇格を果たした香港ヴァーズだが、日本調教馬の優勝はその2年目と早いものだった。この年に遠征したステイゴールドは、G1レースをはじめ重賞での惜敗が多く“善戦マン”のありがたくない異名を取ったが、6歳での重賞初制覇(目黒記念)、明け7歳の日経新春杯、そしてドバイシーマクラシック(当時G2)連勝と遅ればせながら実績を積み上げ、やり残したことは2着4回と跳ね返されてきたG1の壁を突破するだけとなった。
そうして、2001年の香港ヴァーズを引退レースに定めたステイゴールドは、この日も中団付近で折り合いに専念する自分の型に徹し、2番手追走のエクラールが早めにピッチを上げたのを見て追撃に出た。虚を突かれて見る見る離されていく他馬とは対照的に、唯一、エクラールを追い掛けたステイゴールドは、逆転不可能にも思われた差をジリジリと詰めると、最後の100mから羽が生えたように鋭進。最後の一完歩、首を突き出したわずかなタイミングの差で悲願のG1制覇を成し遂げ、これ以上ない形で有終の美を飾った。
ステイゴールドの劇的すぎる勝利後、日本馬は2005年のシックスセンスと2012年のジャガーメイルが2着に善戦したものの、2勝目を手にするまで15年もの空白期間が生じた。
2016年のサトノクラウンは皐月賞で1番人気に支持されるなど早くから才能を評価されていた一方、G1未勝利のまま香港ヴァーズで7度目の挑戦を迎えた。そこでは世界を股に掛けてG1勝ちを量産し、連覇を狙うハイランドリールが待ち受け、単勝1.5倍の圧倒的人気を集めた。それに対してサトノクラウンは20倍の7番人気の伏兵評価だったが、軽快に飛ばす王者を離れた位置からマークすると、直線の残り300mで4馬身ほどあった差をゴール前で大逆転。見事な金星でG1初制覇を飾った。
連覇を逃したハイランドリールだが、2017年に3年連続の遠征を敢行して2度目の優勝。この年はサトノクラウンと同様にG1未勝利の身で挑んだトーセンバジルも3着に食い下がった。そして、2018年にも直前のエリザベス女王杯で待望のG1制覇を飾ったリスグラシューがクビ差の2着と勝利に肉薄。日本調教馬は2400m路線における質の高さを証明し続けている。
年 | 馬名 | 性齢 | 着順 | 騎手 | 調教師 |
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2018 | リスグラシュー | 牝4 | 2 | J.モレイラ | 矢作芳人 |
クロコスミア | 牝5 | 10 | 岩田康誠 | 西浦勝一 | |
2017 | トーセンバジル | 牡5 | 3 | J.モレイラ | 藤原英昭 |
キセキ | 牡3 | 9 | M.デムーロ | 角居勝彦 | |
2016 | サトノクラウン | 牡4 | 1 | J.モレイラ | 堀宣行 |
ヌーヴォレコルト | 牝5 | 4 | 岩田康誠 | 斎藤誠 | |
スマートレイアー | 牝6 | 5 | 武豊 | 大久保龍志 | |
2014 | カレンミロティック | セ6 | 5 | 池添謙一 | 平田修 |
2013 | アスカクリチャン | 牡6 | 7 | 岩田康誠 | 須貝尚介 |
2012 | ジャガーメイル | 牡8 | 2 | D.ホワイト | 堀宣行 |
2011 | トレイルブレイザー | 牡4 | 6 | 安藤勝己 | 池江泰寿 |
2010 | ジャガーメイル | 牡6 | 4 | C.ウィリアムズ | 堀宣行 |
2009 | ジャガーメイル | 牡5 | 4 | C.スミヨン | 堀宣行 |
2008 | ジャガーメイル | 牡4 | 3 | M.キネーン | 堀宣行 |
2006 | ソングオブウインド | 牡3 | 4 | 武幸四郎 | 浅見秀一 |
アドマイヤメイン | 牡3 | 8 | 武豊 | 橋田満 | |
2005 | シックスセンス | 牡3 | 2 | 四位洋文 | 長浜博之 |
2001 | ステイゴールド | 牡7 | 1 | 武豊 | 池江泰郎 |
1999 | ローゼンカバリー | 牡6 | 7 | 菊沢隆徳 | 鈴木康弘 |
1997 | エイシンサンサン | 牝5 | 12 | 武豊 | 坂口正則 |
1995 | タニノクリエイト | 牡3 | 4 | 蛯名正義 | 森秀行 |
1994 | エイシンテネシー | 牝5 | 4 | 増井裕 | 坂口正則 |