香港ヴァーズ

2021/12/12(日) 15:00発走 シャティン競馬場

日本馬挑戦の歴史JAPANESE HISTORY

語り継がれるステイゴールドの劇的勝利、日本調教馬は最近5年で2勝と躍進

日本調教馬は香港ヴァーズ創設の1994年から参戦し、2020年まで3勝しかしていない。7勝の香港カップ、4勝の香港マイルより少なく、香港スプリントと同数の3勝に留まっているが、出走馬の半数が10着以下に沈んでいる香港スプリントに対し、出走した延べ25頭中16頭と6割以上が現地で馬券対象となる4着以内に善戦してきた。

日本調教馬の香港ヴァーズ初制覇は創設から8年目、G1昇格2年目の2001年だった。重賞で惜敗が続き“善戦マン”の異名を取ったステイゴールドが、6歳の目黒記念で遅ればせながら重賞初制覇を飾ると、7歳では日経新春杯、海外初遠征のドバイシーマクラシック(当時G2)を連勝とさらに進化。残すは2着4回と跳ね返されてきたG1だけとなった。

香港ヴァーズを引退レース、文字通りのラストチャンスとして迎えたステイゴールドだが、レースは2番手追走のエクラールが早めにピッチを上げ、中団から追撃に出たステイゴールは最終コーナーで逆転不可能にも思われる差をつけられた。しかし、しぶとく追い上げると最後の100mから空を飛ぶような加速で急接近。最後の一完歩で際どくアタマひとつ逆転して悲願のG1制覇を成し遂げ、現地表記の「黄金旅程」という馬名を体現するかのように有終の美を飾った。

ステイゴールドの劇的な勝利後はシックスセンスが2005年に2着、ジャガーメイルは4回の遠征で2008年3着、2012年2着と善戦したものの、2勝目は2016年のサトノクラウンまで15年もの空白期間が生じた。

この年は連覇を狙うハイランドリールが単勝1.5倍の圧倒的人気を集めたのに対し、サトノクラウンは20倍(7番人気)の伏兵評価。それでも、軽快に飛ばす王者を離れた位置からマークすると、残り300mで4馬身ほどあった差をゴール前で逆転し、見事な金星でG1初制覇を飾った。連覇を逃したハイランドリールは2017年に3年連続の遠征を敢行して2度目の優勝。この年はトーセンバジルが3着に食い下がっている。翌2018年にはリスグラシューが地元の雄エグザルタントと叩き合ってクビ差の2着に惜敗した。

そして、2019年はエグザルタントが連覇に向けて逃走する。5馬身ほど後方で中団を追走したグローリーヴェイズは、最終コーナーから右へ左へステップを踏んで馬群を突破。先頭で粘るディフェンディングチャンピオンを急襲し、3馬身半突き抜ける圧勝劇を披露した。2着にはラッキーライラックが続き、日本調教馬による初のワンツーとなった。

馬名 性齢 着順 騎手 調教師
2019 グローリーヴェイズ 牡4 1 J.モレイラ 尾関知人
ラッキーライラック 牝4 2 C.スミヨン 松永幹夫
ディアドラ 牝5 4 O.マーフィー 橋田満
2018 リスグラシュー 牝4 2 J.モレイラ 矢作芳人
クロコスミア 牝5 10 岩田康誠 西浦勝一
2017 トーセンバジル 牡5 3 J.モレイラ 藤原英昭
キセキ 牡3 9 M.デムーロ 角居勝彦
2016 サトノクラウン 牡4 1 J.モレイラ 堀宣行
ヌーヴォレコルト 牝5 4 岩田康誠 斎藤誠
スマートレイアー 牝6 5 武豊 大久保龍志
2014 カレンミロティック セ6 5 池添謙一 平田修
2013 アスカクリチャン 牡6 7 岩田康誠 須貝尚介
2012 ジャガーメイル 牡8 2 D.ホワイト 堀宣行
2011 トレイルブレイザー 牡4 6 安藤勝己 池江泰寿
2010 ジャガーメイル 牡6 4 C.ウィリアムズ 堀宣行
2009 ジャガーメイル 牡5 4 C.スミヨン 堀宣行
2008 ジャガーメイル 牡4 3 M.キネーン 堀宣行
2006 ソングオブウインド 牡3 4 武幸四郎 浅見秀一
アドマイヤメイン 牡3 8 武豊 橋田満
2005 シックスセンス 牡3 2 四位洋文 長浜博之
2001 ステイゴールド 牡7 1 武豊 池江泰郎
1999 ローゼンカバリー 牡6 7 菊沢隆徳 鈴木康弘
1997 エイシンサンサン 牝5 12 武豊 坂口正則
1995 タニノクリエイト 牡3 4 蛯名正義 森秀行
1994 エイシンテネシー 牝5 4 増井裕 坂口正則