ラッキースワイネスが昨年の雪辱へ、欧州勢の初制覇なるかにも注目
昨年の香港スプリントでは不利に泣いたラッキースワイネスだが、その後に破竹の連勝劇で最優秀スプリンターを受賞。レーティング125は短距離カテゴリーで現役世界最高と、層が厚い地元でも頭ひとつ抜けた存在となっている。中心は揺るがず、先行力で勝負する日本の2頭はどこまで食らいつけるかだ。
今季は連敗スタートのラッキースワイネスだが、どちらもハンデ戦で酷量を負担したもの。別定戦の前走を勝ち切っており状態面に不安はない。定量戦の今回はますます有利で、10頭立ての今年はフルゲート(14頭)の昨年より頭数も手ごろ。不利を受けるリスクも減り、雪辱を果たす可能性が高そうだ。
待ったをかけるとすれば、これも昨年の覇者ウェリントンが最右翼か。香港スプリント後はラッキースワイネスに水を開けられたが、今季からJ.リチャーズ調教師の管理に移ったことで、新たな一面が引き出されるようなら面白い。リチャーズ師はニュージーランドで年間160勝など数々の記録を打ち立て、昨シーズンに拠点を移した凄腕。ウェリントンは前走のジョッキークラブスプリントが移籍初戦でラッキースワイネスから1馬身差の3着だったが、直線では詰まって追い出しがやや遅れた。叩き2戦目の上積みは必至だ。
日本のマッドクールとジャスパークローネは、地元の2強に割って入るのが当面の目標。歴史的にはそれも難しい挑戦になるものの、今年はチャンスがあるかもしれない。層の厚さに定評のある香港の短距離路線だが、ラッキースワイネスとウェリントンの序列が変わっただけで、昨年から特に新陳代謝が進んだ印象もない。マッドクールとジャスパークローネはスプリンターズSで先行し、上位入線を果たしたように主導権をにぎっていけるタイプ。スムーズに流れに乗れるようなら残り目が生じることもあるだろう。
ただし、同じことは欧州から参戦する2頭にも言える。G1レース4勝のハイフィールドプリンセスは欧州でも現役最強クラスの強豪。イソップスフェイブルズは前走のBCターフスプリントで3着に突っ込み、最下位に沈んだジャスパークローネと対照的な内容を残している。直線レースが主体の欧州調教馬は香港スプリントで芳しい結果を残せていないが、ハイフィールドプリンセスはオールウェザーの下級戦ながらコーナーのコースで勝ち鞍があり、イソップスフェイブルズも前走で結果を出した。欧州勢による初制覇という快挙があっても驚けない。
残りの香港勢ではJCスプリントの上位から2着のビクターザウィナーと4着のサイトサクセスに注目。ビクターザウィナーは2kg軽い斤量の恩恵があったとはいえ、逃げ粘って2強の間に割って入った。今回は日本の2頭やハイフィールドプリンセスあたりとの先行争いになるが、それらを凌駕する脚力があれば壁にして押し切るケースも。また、サイトサクセスは昨年の香港スプリントで2着など、直近10戦は全て5着以内(重賞2勝)と安定している。香港スプリントにはリピーターが活躍する傾向もあり軽視禁物だ。
(渡部浩明)