香港マイル 2023/12/10(日) 17:00発走 シャティン競馬場

見どころPREVIEW

香港最強馬ゴールデンシックスティ。(Photo by Getty Images)

ゴールデンシックスティの3勝目なるか、5頭で挑む日本勢には今年も高い壁

昨年はカリフォルニアスパングルが絶対王者ゴールデンシックスティを撃破した香港マイルだが、その後にゴールデンシックスティが巻き返して3季連続の年度代表馬に輝くなど健在をアピール。カリフォルニアスパングルが足踏みする一方、前哨戦のジョッキークラブマイルでは新勢力も台頭の気配を見せ、地元勢の層が一段と厚くなった感さえある。

ゴールデンシックスティは昨年こそ3連覇を逃したが、シーズン後半戦ではカリフォルニアスパングルだけでなく、2000mでロマンチックウォリアーも破るなど、衰えた様子を微塵も見せていない。今回は7か月余りの休養明けが課題だが、ジョッキークラブマイルで始動した過去2シーズンと比較して、レース間隔は3週しか変わらない。その2戦とも勝っており、ここに向けて乗り込みも入念。昨年のように勝負に絶対はなくとも、実績が示す通り普通の状態でさえあれば勝ち負けになるのではないか。

昨年を再現したいカリフォルニアスパングルだが、マークが厳しくなって粘り切れないケースが増えた。前走のJCマイルは2着の昨年より決着時計、道中とも1秒速いペースに巻き込まれて4着と、初めて3着をはずす結果に終わっている。絡んできたヴォイッジバブルにも後れを取っており、引き続き道中で溜めを作れるかが課題。一方で、共倒れのような形で上位2頭には離されたものの、強豪に先着してヴォイッジバブルには収穫もあった。昨季の香港ダービーと香港クラシックマイルで二冠を制した力は伊達ではなく、立ち回り一つで上位を狙える可能性を示した。

JCマイルでワンツーのビューティーエターナルとビューティージョイには展開が向いたが、当時のビューティーエターナルは単勝2.5倍の2番人気で、カリフォルニアスパングル(1.7倍)と差のない評価。香港ダービーではヴォイッジバブルと半馬身差もない3着、シーズン終盤に重賞連勝と素質の高さを見せていた。ビューティージョイは最後方からの直線勝負がはまった印象も、鞍上が直線半ばでステッキを落としながらも短アタマ差の2着に迫っている。チャンピオンズマイルも2着でカリフォルニアスパングルとヴォイッジバブルに先着しており、人気の盲点になるようなら注意したい。



マイルCSでG1初制覇を果たしたナミュール。(Photo by Shuhei Okada)

5頭が参戦する日本勢にとって、まずはこれら地元の5頭が強烈。先行から追い込みまでタレントがそろっており、数々のG1ホースたちが跳ね返されてきた例年と同様、壁を突き崩すのは難しいミッションとなることを覚悟しなければならない。

筆頭格はやはりナミュールとなるだろう。目下の充実ぶりに加え、前走のマイルCSでは展開に左右されない脚力を見せた。オークスや秋華賞など長い距離での実績があるのも底力の証明になる。また、今回が3度目の香港遠征となるダノンザキッドは経験値で対抗したいところ。昨年の香港Cではロマンチックウォリアーに離されたものの2着と、コース実績に加えて距離の融通性があるのは強みだ。

セリフォスは前走のマイルCSをひと叩きと割り切れば、夏負けからの上積みを期待できる。ドバイターフでは世界を相手に大きな見せ場を作っており、今回はベストのマイル戦で国内トップクラスの真価を問われる。G1未勝利のソウルラッシュとディヴィーナには腕試しの場。ともに初遠征だが、ソウルラッシュは父ルーラーシップが2012年にクイーンエリザベス2世C勝ち、ディヴィーナは伯母のヴィブロスが2018年の香港マイルで当時の最強馬ビューティージェネレーションの2着に善戦と、シャティン競馬場に適性を感じさせる。

欧州からはフランスのトリバリストとアイルランドのカイロが参戦するが、トリバリストは今季の良績が道悪に偏っている。また、カイロは愛2000ギニーで僚友パディントンから2馬身差の2着も、当時は残り3ハロンを切るまで各馬が持ったままの上がり勝負。両馬ともオーナー、厩舎が名門で不気味さはある一方、スピード勝負への対応力という点で未知数な面がある。

(渡部浩明)