ジャックルマロワ賞 2026/8/16(日) 22:50発走 ドーヴィル競馬場

見どころPREVIEW

日本から参戦するシックスペンス。(Photo by Kazuhiro Kuramoto)

大本命の回避で一転の混戦模様、シックスペンスとシュトラウスにも勝機

今年も日本からシックスペンスとシュトラウスの2頭が参戦することになったジャックルマロワ賞だが、「大本命」「1強」の評価を集めていた無敗馬ボウエコーが11日に負傷で電撃引退。一転して本命不在の混戦模様となり、日本勢の勝機も拡大と見どころは増した。

まずはG1ホースとして挑むシックスペンス。安田記念の優勝馬がジャックルマロワ賞に参戦するのは1998年のタイキシャトル以来だが、両雄の比較では中団より前から差す正攻法の取り口やダートもこなすパワーに共通点を見出せる。芝が深い一方でスピードも求められる馬場という条件は、あるいは日本以上に合うかもしれない。同じキズナ産駒のディープボンドがフォワ賞を、父キズナはニエル賞を制すなど、決して多くはないフランス遠征で結果を出してきた血統面にも魅力があり、勝ち負けになっても不思議はない。

初遠征のシックスペンスに対し、シュトラウスは今回で4戦連続4カ国目の海外という経験値に一日の長がある。前走のチャンピオンズマイル(12着)は案外な結果に終わったが、前々走のアブダビゴールドCでは複数の欧州G1級が含まれる質の高い相手たちに完勝している。その2戦がそうであったように、依然として折り合いに注文がつくものの、今回はコーナーで減速する必要のない初の直線レースに変わり身の余地がある。

英国ブックメーカーの前売り人気はプリサイス、ザシークレットアドヴァーサリー、モアサンダー、ゼウスオリンピオス、そしてライフが拮抗した関係だが、いずれも一長一短あり、盤石といえるような実績を持ち合わせていない。

3歳牝馬のプリサイスは愛1000ギニーとコロネーションSを連勝するなど、2歳時を含めてG1レース4勝を誇るが、その4勝は全て世代限定、牝馬限定の条件付き。直近2戦は牝馬限定G1で4歳馬のブルーボルトに連敗している。前走のロートシルト賞は敗れたとはいえ1/2馬身差で、引き続き同舞台というのは悪くないが、牡馬を相手にするのは初めて。一段とハードルが上がるだけに試金石の域を出ない。

前哨戦のジャンプラ賞を勝利したザシークレットアドヴァーサリー。(Photo by scoopdyga)

ザシークレットアドヴァーサリーの前走はジャックルマロワ賞の前哨戦でもあるジャンプラ賞でG1初制覇。ただし、距離が200m長いマイル戦では英2000ギニーで12馬身余りと、今回の大本命となるはずだったボウエコーに完敗している。調教師も1400m(7ハロン)がベストという考えを明かし、8月22日のシティオブヨークS(7ハロン)を当初のプランとしていた。

5歳馬のモアサンダーと4歳馬のゼウスオリンピオスは直近3戦で対戦を繰り返してきた。どちらもG1未勝利ながら今季のマイル戦線で好走を続けており、特にモアサンダーは5月のロッキンジS、6月のクイーンアンSで2着とG1制覇に迫っている。ジャックルマロワ賞にも早々に挑戦表明と士気が高く、待望の初勝利を飾る可能性も十分にあるだろう。

ただし、後方からの末脚勝負を型としているため、展開に左右される面が否めない。前走のG2サマーマイルSはC.ファロン騎手の代打騎乗だったとはいえ、ゼウスオリンピオスにスローペースに持ち込まれて4着と圧倒的人気を裏切った。両雄の比較ではモアサンダーがやや優位と考えられるが、いずれにしてもG1を勝ち切るには展開の助けが必要か。

近年、遠征馬に押されている地元勢では仏2000ギニー馬ライフが大将格。調整の遅れにより7カ月ぶりの3歳初戦で仏2000ギニーを制した一方、セントジェームズパレスSは熱発で回避、仕切り直しのジャンプラ賞も5着と順調に来られなかった中で、今回は万全という陣営の弁が不気味に映る。仏2000ギニーは道悪だったが、昨年のジャックルマロワ賞当日には良馬場で重賞勝ちしたことから、むしろ速い馬場向きとも評しており、真価を問われる一戦になりそうだ。

G1初挑戦のドリームライナーとノーランチ、サートミーセンの中では、ドリームライナーが気になる存在。1年前に今回と同舞台でG3勝ちがあり、前走も最後方の10番手から追い込んでG3を勝っている。良馬場の経験は昨年4月のG3ラフォルス賞での1戦しかなく、結果もクアリフィカーの4着だが、当時は逃げて終盤にソラを使い、後続にかわされてから差し返しにいくなど力を出し切っていない。4カ月半ぶりの実戦でG1挑戦は楽ではないが、前走は5カ月の休養明けで勝っている。

ノーランチは昨年11月から今年5月のG2ミュゲ賞まで6連勝したが、相手関係の落ちる冬場のオールウェザー戦が中心。前走は英国のサマーマイルSに遠征するも、ゼウスオリンピオスやモアサンダーに完敗の最下位に沈み、良馬場の瞬発力勝負では苦しい印象を残した。サートミーセンの前走はドイツのG3(1600m)で重賞初制覇。余力残しで3馬身半差の逃げ切りと上々の内容も、今回は時計を5秒ほど詰める必要がある。

(渡部浩明)