【世界の騎手紹介 Vol.22】オイシン・マーフィー
2019年02月13日 15:00
オイシン・マーフィー騎手は1995年9月6日、アイルランド生まれ。2002年~2004年にかけて障害の大一番チェルトナムゴールドカップをベストメイトで3連覇したほか、2002年にはグランドナショナルもビンダリーで制したJ.カロティ元騎手(調教師としても2014年のチェルトナムゴールドカップをロードウィンダミアで制覇)の甥。4歳で馬に乗り、ポニー競馬で腕を磨く。13歳でカロティの厩舎を手伝いはじめ、続いてT.スタック調教師、A.オブライエン調教師に師事した。
その後、17歳で海を渡り、イギリスのA.ボールディング厩舎の見習い騎手となり、2013年6月16日(ソールズベリー競馬場)にボールディング厩舎のインペリアルグランスで初勝利。この年の9月21日にはエア競馬場でメインレースのエアゴールドカップを含む1日4勝を挙げてその名を大いにアピールした。
オーストラリア、ドバイでの騎乗を経て迎えた翌2014年にはイギリスの見習い騎手リーディングを獲得したほか、5月にはG2テンプルステークスをホットストリークで制して重賞初制覇を果たした。すると、2015年のシーズンを前にカタールのファハド殿下が率いるカタールレーシングの2番手騎手(1番手はA.アッゼニ騎手)に抜擢。その後、アッゼニ騎手がチームから離れたため、2016年シーズンからはカタールレーシングの主戦の座に就いている。
G1初制覇は2017年10月にアクレイムで制したフランスのG1フォレ賞。その2週間後には今度はカナダのG1であるE.P.テイラーステークスをブロンドミーで優勝した。
2018年は大ブレイクの年となり、欧州年度代表馬に輝いたロアリングライオンとのコンビでG1エクリプスステークス、G1英インターナショナルステークス、G1アイリッシュチャンピオンステークス、G1クイーンエリザベス2世ステークスを制したほか、ベンバトルでG1ドバイターフ、ライトニングスピアでG1サセックスステークスなどに優勝した。
翌2019年は初めてイギリスのチャンピオンジョッキーの座に君臨したほか、日本調教馬ディアドラではG1ナッソーステークスに優勝。短期免許で来日した際にもスワーヴリチャードでG1ジャパンカップを制するなど華々しい活躍を見せた。
2020年は、フランスで禁止薬物(コカイン)の陽性反応が出たことにより(本人は薬物使用を否定。陽性反応が出るような環境に身を置いたことが原因と主張して、フランスギャロもその説明を受け入れた)、同年12月11日から3カ月の騎乗停止処分を受けてしまったが、シーズン前半にはカメコでG1 英2000ギニーを制して英クラシック初制覇を達成。イギリスのチャンピオンジョッキーにも2年連続して輝いた。
近年のG1勝ち
2020年
チェヴァリーパークS(イギリス):アルカホルフリー
スプリントC(イギリス):ドリームオブドリームス
英2000ギニー(イギリス):カメコ
2019年
ジャパンC(日本):スワーヴリチャード
フューチュリティトロフィー(イギリス):カメコ
ナッソーS(イギリス):ディアドラ
ファルマスS(イギリス):ヴァレイシャス
2018年
クイーンエリザベス2世S(イギリス):ロアリングライオン
ジャンリュックラガルデール賞(フランス):ロイヤルマリン
愛チャンピオンS(アイルランド):ロアリングライオン
スプリントC(イギリス):ザティンマン
英インターナショナルS(イギリス):ロアリングライオン
サセックスS(イギリス):ライトニングスピア
エクリプスS(イギリス):ロアリングライオン
ダルマイヤー大賞(ドイツ):ベンバトル
ドバイターフ(UAE):ベンバトル
2017年
E.P.テイラーS(カナダ):ブロンドミー
フォレ賞(フランス):アクレイム
文:秋山 響(TPC)