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【世界の騎手紹介 Vol.35】ジョン・アレン

2019年10月16日 15:00

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 アイルランドからオーストラリア、そして障害から平地へと転向して成功を収めたジョン・アレン騎手は1984年9月24日、アイルランド生まれ。母が乗馬の先生をしていたことから小さい頃から馬に親しみ、少年時代にはアイルランドで盛んなポニー競馬で腕を磨いた。

 やがて障害騎手になったアレンはA.オブライエン調教師の義父であるJ.クロウリー調教師などに師事していたが、騎乗数が年々減少。これに危機感を持つと2011年のある日、レーシングポスト(競馬新聞)に載った広告を見て、オーストラリア行きを決断した。

マッキノンSをトラップフォーフールズで制したアレン騎手。(Photo by Getty Images)

 オーストラリアでは当初、ある調教師に師事する予定だったが、渡豪数日前に断られたことで、身を寄せたのが当時ヴィクトリア州を代表する存在だったD.ウィアー調教師。最初の頃は障害競馬を中心に騎乗し、グランドナショナルスティープルチェイス、グランドアニュアルスティープルチェイスなどの大レースにも勝ったが、徐々にアイルランド時代には数えるほどしか騎乗経験の無かった平地に軸足を移し、2016年4月にはG1SAダービー(勝ち馬ハワードビーザイネーム)で重賞初制覇。翌年もヴォラタイルミックスで勝ってこのレース連覇を達成した。

 2018/19年シーズンは大きな飛躍の年となり、2018年11月にはG1ヴィクトリアダービーをエクストラブリュットで制し、その1週間後にはG1マッキノンステークスをトラップフォーフールズで優勝(シーズン通してG1を5勝)。その後、多くの勝利をともに得ていたウィアー調教師が2019年2月に4年間の資格停止処分を受けるという逆境にもめげず、2019/20年シーズンにはフィフティースターズでG1オーストラリアンC(2020年3月)、2020/21年シーズンにはエクスプローシブジャックでG1オーストラリアンダービー(2021年4月)に勝利。2021/20年シーズンもステートオブレストでG1コックスプレート、モーリス産駒のヒトツでG1ヴィクトリアダービーに優勝(ともに2021年10月)と大レースでの活躍が目立っている。

近年のG1勝ち
2021年
ヴィクトリアダービー(オーストラリア):ヒトツ
コックスプレート(オーストラリア):ステートオブレスト
SAダービー(オーストラリア):エクスプローシブジャック
オーストラリアンダービー(オーストラリア):エクスプローシブジャック

2020年
ザグッドウッド(オーストラリア):トレッキング
SAダービー(オーストラリア):ロシアンキャメロット
オーストラリアンC(オーストラリア):フィフティースターズ

2019年
クイーンズランドダービー(オーストラリア):ミスタークイッキー
ドゥームベンC(オーストラリア):ケネドナ
レガシーS(オーストラリア):ケネドナ

2018年
マッキノンS(オーストラリア):トラップフォーフールズ
ヴィクトリアダービー(オーストラリア):エクストラブリュット

2017年
SAダービー(オーストラリア):ヴォラタイルミックス

2016年
SAダービー(オーストラリア):ハワードビーザイネーム

文:秋山 響(TPC)