【世界の馬主紹介 Vol.17】フランク・ストロナーク
2021年04月07日 15:00
北米を代表する馬主。1932年9月6日生まれ。オーストリア出身。世界恐慌や第二次世界大戦の影響下で育ち、14歳で工員として働き始めた。その後1954年にカナダに移住。やがて世界でも有数の自動車部品メーカーとなったマグナインターナショナルを興して大成功を収めた。
馬主としては、これまでグロリアスソング(1980年米最優秀古牝馬)、パーフェクトスティング(2000年米最優秀芝牝馬)、マッチョウノ(2000年米最優秀2歳牡馬)、ゴーストザッパー(2004年米年度代表馬)、ジンジャーパンチ(2007年米最優秀古牝馬)と5頭のエクリプス賞受賞馬を所有し、自身もエクリプス賞最優秀馬主に1998年、1999年、2000年、2008年と4度も輝いている(カナダのソヴリン賞最優秀馬主も計9回)。
また、生産者としても大きな成功を手にしており、上記5頭の内、グロリアスソングを除く4頭は全て自身の生産馬(アデナスプリングス名義)。そのほか、ゴーストザッパーやジンジャーパンチの父で、G1BCクラシックやカナダのクイーンズプレートなどを制したオーサムアゲイン、G1プリークネスSを制したレッドブリット、G1サンタアニタHのシャーマンゴーストなども自家生産。エクリプス賞最優秀生産者には2000年、2004年~2008年、2010年~2011年と計8度選ばれている(カナダのソヴリン賞最優秀生産者も計9回)。
生産組織の拠点はアメリカとカナダ。ケンタッキーのアデナスプリングスではゴーストザッパーやムーチョマッチョマンなどを繋養していたが、この2頭は2020年にヒルンデイルファームがケンタッキーに開設したハラパファームに移動し、そのほかの種牡馬もカナダのアデナスプリングスノースに移った。
また、競馬事業にも進出して、ザストロナークグループを創業(現在の経営は娘のベリンダが担う)。ザストロナークグループはサンタアニタパーク競馬場、ガルフストリームパーク競馬場、ピムリコ競馬場などで競馬を運営している。「出走権を販売して、それを賞金に充てる」ことで高額賞金を実現したペガサスワールドカップも彼のアイディアだった。
近年のG1勝ち(ストロナークステーブルズの単独名義のみ掲載)
2019年
メーカーズ46マイルS(アメリカ):デルタプリンス
2017年
サンタアニタH(アメリカ):シャーマンゴースト
2016年
ウッドワードS(アメリカ):シャーマンゴースト
文:秋山 響(TPC)