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バーイードの来年種付け料は約1300万円、前年から下落もシャドウェル最高値
プロフィール
2021年3月24日、9度の英リーディングオーナーに輝くなど、世界的なオーナーブリーダーとして名を馳せたハムダン殿下が亡くなった。弟のモハメド殿下(UAEドバイの首長)と同様、数多くの名馬を世に送り出してきた中で、その死から約2か月後にデビューしたバーイードは、ハムダン殿下の遺志を宿しているかのように欧州を席巻。最高傑作と呼ぶにふさわしい大活躍を披露した。
バーイードはハムダン殿下が育んできた血筋の結晶ともいうべき逸材だった。全兄フクムはキングジョージ6世&クイーンエリザベスSとコロネーションCでG1レースを2勝。母系を遡れば祖母ラフドゥードはBCフィリー&メアターフ勝ち馬で、4代母バシャイヤーの半兄ナシュワン(英二冠など)、半弟ネイエフ(英インターナショナルSなど)らもハムダン殿下の青を基調とする勝負服で活躍した。5代母はハイクレアで、ディープインパクトも同じファミリーに含まれる。
ハムダン殿下の亡き後、所有馬は殿下が率いたシャドウェル・エステイトの名義となり、勝負服も継承されて現役を続けることになった。英国のW.ハガス調教師に預けられたバーイードの初陣は同世代がダービーを戦った2日後(2021年6月7日)まで遅れ、その勇姿を殿下に見せることはできなかったが、覚束ない発馬から鮮やかな追い込みを決めて快勝。その後は1か月で楽々と2勝を追加し、デビューが遅れた分を駆け足で取り返していく。
そして、7月末にはグロリアスグッドウッド開催のG3サラブレッドSで重賞に初挑戦し、軽く気合いをつけられただけで6馬身半差の圧勝。レーティング120とG1級の評価を受けると、次戦はフランスのムーランドロンシャン賞でG1、そして古馬に初めて挑み、1番人気に応えて正真正銘のG1ホースとなる。欧州マイル戦線の最前線に躍進するまで、デビューからほぼ3か月しか要さなかった。
バーイードは続くクイーンエリザベス2世SでG1レース3連勝中の4歳馬パレスピアとの頂上決戦に臨んだ。人気はパレスピアが単勝2.5倍、バーイードが3倍で他を離し、レースも下馬評通りの一騎打ちに。中団のパレスピアと直後でマークするバーイードの2頭が抜け出して激しく火花を散らし、最後はクビ差でバーイードに軍配が上がった。しかし、カルティエ賞ではパレスピアが最優秀古馬を受賞したのに対し、バーイードはセントマークスバシリカに最優秀3歳牡馬のタイトルをさらわれるなど、デビュー6連勝で事実上の欧州マイル王となりながら無冠でシーズンを終えた。
ただ、そんなことはバーイードにとって小さな問題でしかなかった。4歳を迎えたバーイードはさらなる進化を見せ、始動戦のロッキンジSを気合いづけのステッキ一発だけで完勝。この頃からハガス師は史上最強馬フランケルを意識した発言をするようになる。次戦ではロイヤルアスコット開催のクイーンアンSをノーステッキで圧勝すると、さらに日本からバスラットレオンが遠征したサセックスSも快勝。前年からG1を5連勝してマイルでの戦いに区切りをつけた。
こうして、バーイードはかつてのフランケルと同様に、英インターナショナルSで初の10ハロンに挑むことになった。すると、バーイードの走りはハガス師が思い描いたように一段と凄味を増し、前年に6馬身差で圧勝したミシュリフをさらに6馬身1/2差と寄せつけずに圧巻の勝利を飾る。無傷の10連勝としたことにより、フランケルと比較する声は日増しに大きくなっていた。その後は凱旋門賞でさらに距離を延長するプランを自重し、最強馬と同様に英チャンピオンSでのラストランを選択した。
ここで有終の美を飾れば、最強馬の座へもう一歩前進できるところだった。しかし、最後の最後に思わぬ結果が待ち受けていた。ゲートでやや後手を踏んだバーイードは直線で先頭争いに加わるべく接近を図るも、稍重の発表以上に重くなった馬場に武器の瞬発力を封じられ、先頭に立つどころか3番手にも上がれないままゴール。無傷の戦績に初の土がつき、フランケルの背も遠のいて現役生活に幕を下ろした。
それでも、公式レーティングは歴代最強クラスの135に評価され、前年は無冠に終わったカルティエ賞も年度代表馬と最優秀古馬を受賞。豊かなスピードと華やかな血統に対する大きな期待とともにシャドウェルスタッドで種牡馬生活に入った。
生年 | 2018 |
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性別 | 牡 |
毛色 | 鹿毛 |
父 | Sea The Stars |
母 | Aghareed |
母父 | Kingmambo |
調教師 | W.ハガス |
生産者 | Shadwell Estate Company Limited |
馬主 | Shadwell Estate Co. Ltd |
通算成績 | 11戦10勝[10-0-0-1] |
開催日 | 場所 | レース名 | 動画 | 着順 | 騎手 | トラック | 距離 | 馬場状態 |
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2022/10/15 | アスコット | 英チャンピオンステークス(G1) | 4 | J.クローリー | 芝 | 1990 | 稍重 | |
2022/08/17 | ヨーク | 英インターナショナルステークス(G1) | 1 | J.クローリー | 芝 | 2050 | 良 | |
2022/07/27 | グッドウッド | サセックスステークス(G1) | 1 | J.クローリー | 芝 | 1600 | 良 | |
2022/06/14 | アスコット | クイーンアンステークス(G1) | 1 | J.クローリー | 芝 | 1600 | 良 | |
2022/05/14 | ニューベリー | ロッキンジステークス(G1) | 1 | J.クローリー | 芝 | 1600 | 良 | |
2021/10/16 | アスコット | クイーンエリザベス2世ステークス(G1) | 1 | J.クローリー | 芝 | 1600 | 稍重 | |
2021/09/05 | パリロンシャン | ムーランドロンシャン賞(G1) | 1 | J.クローリー | 芝 | 1600 | 稍重 | |
2021/07/30 | グッドウッド | サラブレッドステークス(G3) | 1 | J.クローリー | 芝 | 1600 | 稍重 | |
2021/07/08 | ニューマーケット | サーヘンリーセシルステークス(L) | 1 | J.クローリー | 芝 | 1600 | 良 | |
2021/06/19 | ニューマーケット | 条件戦 | 1 | D.オニール | 芝 | 1600 | 稍重 | |
2021/06/07 | レスター | 未勝利戦 | 1 | D.オニール | 芝 | 1650 | 良 |
距離 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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~1400m | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
1401m~1800m | 9 | 0 | 0 | 0 | 9 | 100% | 100% | 100% |
1801m~2100m | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 50% | 50% | 50% |
2101m~ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
馬場状態 | 1着 | 2着 | 3着 | 4着以下 | 出走回数 | 勝率 | 連対率 | 3着内率 |
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良馬場 | 6 | 0 | 0 | 0 | 6 | 100% | 100% | 100% |
稍重馬場 | 4 | 0 | 0 | 1 | 5 | 80% | 80% | 80% |
重馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |
不良馬場 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0% | 0% | 0% |