今年の凱旋門賞はクロノジェネシスにディープボンド、さらにアイルランドのA.オブライエン調教師が管理するディープインパクト産駒スノーフォールと、国内外から日本に縁のある実績馬が名を連ね、例年以上に観戦の楽しみが広がっているが、もう1頭、忘れてはならないのがブルームだ。スノーフォールと同じ名門オブライエン厩舎で育ち、日本の松島正昭氏が率いるキーファーズがクールモアと共同所有、武豊騎手が悲願の凱旋門賞制覇へ手綱を取る。

このユニットは昨年の凱旋門賞にもジャパンで参戦を予定していたが、オブライエン厩舎で使用する飼料から禁止薬物が検出され、直前で出走取消を余儀なくされる悔しさを味わっている。今回は1年越しで巡ってきた雪辱の機会だ。

ブルームは昨年に2戦しかできなかったが、今年は3月末の始動戦から前走まで8戦4勝、2着3回と順調そのもの。5月のG1タタソールズGCで短アタマ差の2着に迫ると、7月にはサンクルー大賞を逃げ切って待望のG1初制覇を飾り、アイルランド国内にしか白星がなかったブルームにとって二つの壁を同時に破る貴重な勝利となった。前走のフォワ賞では逃げるディープボンドに突き放されたものの2着を死守。今年は一連の戦いを通じて逃げ・先行の型をすっかりものにしており、正確な体内時計を持つことでは当代きっての武豊騎手とのコンビで如何なるレースを見せてくれるか大いに楽しみだ。